脱・現地一品生産! 製造業の知見を応用して西松建設がダッソーと目指す「工業化施工」:Archi Future 2025 Playback(1/2 ページ)

西松建設は、ダッソー・システムズとともに、建設業の人手不足や長時間労働を解消するべく、製造業のPLMの概念を取り入れた独自の「工業化施工」で、建設プロセスの改革に着手している。

» 2026年10月27日 20時44分 公開
[川本鉄馬,BUILT]

 建設業界が直面する人手不足や長時間労働といった喫緊の課題に対し、その解決の鍵として、製造業の知見とデジタル技術を活用した抜本的な変革が求められている。「Archi Future 2025」の西松建設とダッソー・システムズのセッションでは、「プロダクトライフサイクルマネジメント(PLM)」の概念を建設に持ち込む西松建設の大胆な取り組みと、それを支えるダッソー・システムズのソリューションが発表された。

西松建設とダッソー・システムズのセッション 西松建設とダッソー・システムズのセッション 写真は全て筆者撮影

建設業界が直面する課題と「西松DXビジョン」が示す変革の方向性

 建設の仕事は、これまで「現地一品生産」や「オーダーメイド型」と呼ばれ、標準化が難しいとされてきた。その一方で、現場を支える就業者の高齢化や若手の離職による人手不足が深刻度を増している。2024年に始まった労働時間規制などの課題もあり、生産性向上が不可欠な状況にある。

 西松建設 技術戦略室 技術革新部 部長 前啓一氏は現在の状況について、「全国どこに行っても人が足りない、時間が足りない。そのしわ寄せが安全管理や品質確保に悪影響を及ぼすのではという不安がある」と現場の切実な声を訴えた。「現場ではDXの必要性は感じているが、新しいことに取り組む余裕がない」と述べ、そのことこそが課題と指摘した。

西松建設 技術戦略室 技術革新部 部長 前啓一氏 西松建設 技術戦略室 技術革新部 部長 前啓一氏

 西松建設が目指すのは、人手不足や長時間労働を改善し、生産性を向上させることにある。実現のために「標準化」「システム化」「自動化」といった製造業のノウハウを建設に応用するチャレンジに挑んでいる。そこで活用されるのが、ダッソー・システムズの統合ソリューション「3DEXPERIENCE」だ。

 ダッソー・システムズは、1981年の創業以降、航空機や自動車を始めとした製造業で多くの知見を蓄積してきた。そのノウハウを建設分野に適用すれば、安全や品質を担保した上で建設業務の効率化が期待できる。

 西松建設は変革を推進するため、長期ビジョン「西松-Vision 2030」のもと、デジタルのアプローチで実現を目指す指針「西松DXビジョン」を策定。「現場」「ワークスタイル」「ビジネス」の3つの空間を対象に、デジタルで変革するとしている。今回の講演では、特に高性能という意味での「スマート現場」を具現化するロードマップを説明した。

スマート現場の実現に向けたロードマップ。赤い四角で囲まれているのが「<strong>3D</strong>EXPERIENCE」の活用領域 スマート現場の実現に向けたロードマップ。赤い四角で囲まれているのが「3DEXPERIENCE」の活用領域

 ロードマップの「設計・計画DX」では、BIM/CIMを活用した提案型フロントローディングにシフト。「施工管理DX」では、暗黙知のナレッジ化やQCDSEM(品質、コスト、工程、安全、環境、モラール)の管理システムを構築し、現場データに基づいて作業の未来を予測する施工管理を目指す。さらに「施工DX」では、建機の遠隔操作や自動化、ファブリケーション化による建設の工場化などに取り組む。

 3つの分野でDXを進めて統合することで、将来を見据えた提案を可能にし、最終的にはフルオートの施工や現場管理までを目標に据える。ダッソー・システムズの3DEXPERIENCEは、その実現に大きな役割を果たす。

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