プラスチックのリサイクル技術を開発するMSCは、2026年12月、家庭から回収した容器包装プラスチックのリサイクル工程で発生する残渣を原料としたアスファルト改質添加剤「Re-PAB」の製造販売を開始する。これに伴い、道路舗装工事などを手掛ける佐藤渡辺がRe-PABを採用し、製造時のCO2排出量を実質約50%削減するアスファルト混合物「エコ・ループファルト」を発売する。
プラスチックのリサイクル技術を開発するMSCは2026年9月30日、都内で記者会見を開き、家庭から回収した容器包装プラスチックのリサイクル工程で発生する残渣(ざんさ)を原料としたアスファルト改質添加剤「Re-PAB(リーパブ)」の製造販売を開始すると発表した。道路舗装工事などを手掛ける佐藤渡辺がRe-PABを採用し、CO2排出量を実質約50%削減するアスファルト混合物「エコ・ループファルト」を発売する。
MSCは2026年12月1日からRe-PABの出荷を開始し、日東商事が供給窓口を担う。佐藤渡辺は既にアスファルトプラントで混合物を製造し、大型車が頻繁に走行する構内で試験施工を実施。通常のアスファルト舗装と同様に施工できることを確認した。今後は自社で施工実績を積み上げるとともに、他の舗装会社への展開も目指す。
家庭から分別収集された容器包装プラスチックには、複数の樹脂や複合素材などが含まれる。MSCによると、従来の再生材は臭いや気泡、異物、物性のばらつきなどが課題となり、製品への配合量にも限界があった。
MSCはこうした課題に対し、家庭由来の容器包装プラスチックから高品質な再生原料を製造する「MC-Re」を開発した。従来の再生材は製品への配合率が2〜3割程度だったが、MC-Reでは7〜8割まで高められるとしている。
一方、リサイクル工程では、再利用が難しい残渣も発生する。MSCは残渣を独自技術で加工し、アスファルト改質添加剤「Re-PAB」を開発した。
MSC 代表取締役の麦谷貴司氏は、プラスチックとアスファルトがともに石油由来であることに着目したと説明する。MSCは、プラスチックを洗浄、微粉化してアスファルトに混合し、アスファルト混合物の強度を高める添加剤としてRe-PABを開発した。
麦谷氏によると、プラスチックの微粉化は大量処理が難しいという。MSCはこの課題に対応するため、独自の微粉化設備と加工技術を開発した。
佐藤渡辺が開発したエコ・ループファルトは、アスファルト混合物1トン当たりRe-PABを10キロ(1%)添加する。アスファルト混合物の製造時に発生するCO2から、残渣の焼却回避による削減効果を差し引くと、1トン当たり約54キロから約27.5キロとなり、実質約50%削減できるとしている。
道路材料としての性能も検証した。佐藤渡辺によると、わだち掘れへの抵抗性を示す動的安定度は6100〜7800回/mmとなり、ポリマー改質アスファルトII型混合物と同程度の性能を確認したとしている。橋本氏はRe-PABについて「最初は半信半疑だったが、実際に使うと非常に強度のある材料だと分かった」と振り返る。
実用化に向けては、試験室での性能評価だけでなく、実際の製造設備と施工環境でも検証した。佐藤渡辺は技術研究所で混合物を製造して試験した後、関東と東北のアスファルトプラントでも製造。大型車が毎日多数走行する構内に試験施工した。橋本氏によると「通常のアスファルト舗装と施工性に違いはみられず、佐藤渡辺以外の会社でも扱える技術だと確認した」という。
Re-PABは佐藤渡辺専用の材料ではなく、他の舗装会社などにも供給する。MSCがRe-PABを製造/販売し、佐藤渡辺はRe-PABを配合した「エコ・ループファルト」を製造/施工する。他の舗装会社もRe-PABを調達し、独自の配合や製品名でアスファルト混合物を製造する想定だ。橋本氏は「同業者と一緒にRe-PABを使って、全国の道路に展開したい」と話す。
MSCが将来目指すのは、地域から排出された容器包装プラスチックを、その地域のインフラ資材として利用する「地産地消」の資源循環だ。
現在は富山環境などの容器包装プラスチックのリサイクル事業者から残渣を調達して原料化し、日東商事のネットワークを通じて供給する体制の構築を進めている。麦谷氏は「宮城県のものは宮城県の道路に、東京都のものは東京都の道路に」と説明し、地域で回収したプラスチックを地域のインフラ資材として利用する構想を示した。
Re-PABの普及に向けては、まず佐藤渡辺がエコ・ループファルトを製造/施工して実績を蓄積し、その情報を同業他社と共有する。
また、Re-PABの用途を道路舗装以外にも広げていく。佐藤渡辺は、高炉セメントとRe-PABを組み合わせたコンクリート「エコ・ループクリート」を開発中だ。
高炉セメントによるCO2排出削減と、プラスチック残渣の焼却回避効果を組み合わせ、普通ポルトランドセメントを使用した普通コンクリートと比べ、CO2排出量の約50%削減を目指す。佐藤渡辺は圧縮強度試験を実施し、高炉セメントを使用した普通コンクリートと同等の強度を確保できたとしている。
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