建設用3Dプリンタの真価が発揮された好例として、2024年元日に発生した能登半島地震での復旧支援が挙がる。災害復旧では、現場の状況に合わせて形状を微調整する必要がある「一点物」の部材が多く求められるが、3Dプリンタであればデジタルデータを修正するだけで済む。
復旧工事に当たり、Polyuseは石川県かほく市のプレキャスト工場に3Dプリンタを配備。国道249号の応急工事で、注文からわずか6日間で集水桝を納品して設置した。従来の型枠製作や既製品の発注と比較すると、2週間も短縮した計算になる。
驚異的なスピードを支えるのは、現地の計測データとの高度な連携だ。高知県での護岸工事や長崎県での波返し工事では、3D点群データを取得し、老朽化した不定形の既設構造物に完全にフィットする部材を造形して、現場で加工する手間を大幅に削減した。
Polyuseは技術の社会実装を加速させるため、大手建機レンタル会社の西尾レントオールと戦略的提携を結んでいる。西尾レントオールは、日本で唯一のレンタル用建設3Dプリンタを岡山県の拠点で運用している。3Dプリンタのレンタル体制を整えた理由は、施工業者が多額の設備投資をすることなく、必要なときだけ最新の3Dプリンティング技術を利用できるようにするのが目的だ。
サイズがコンパクトなため、現場の横で直接造形する「ニアサイト」、工場で造形する「オフサイト」の双方に対応する。4トントラック1台で全国どこへでも輸送可能な機動性もあり、これまでに熊本や佐賀、四国、名古屋の現場で稼働実績がある。
Polyuseは今後、パートナー企業との連携をさらに強化し、2026年度までに全国で約100台の建設用3Dプリンタの常設を目指す。設置拠点を全国に分散させることで、部材の輸送距離を短縮し、環境負荷の低減と運用コスト削減を両立させる方針だ。
相澤氏は配置方針の説明に際し、施工実績の積み上げについて触れた。「2026年6月時点で累計300件の3Dプリントの施工実績があり、全国の供給ネットワークとパートナー企業との連携で、2028年までに1000件としたい」との展望を示した。
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