高砂熱学の全てのライン管理職が参加 本気の「BIMマネジメント講習」日本列島BIM改革論〜建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオ(15)(1/3 ページ)

高砂熱学工業では早くからBIMに取り組み、その活用範囲を着実に拡大してきた。しかし、BIMの真価を発揮するためには、担当者レベルの取り組みだけでは不十分だと考えた。BIMや情報マネジメントは設計・施工プロセスそのものを改革するもので、その実現には管理職の理解と主体的な関与が欠かせない。そこで、BIM活用をさらに一段高いレベルへ引き上げるべく、全ての設計・施工部門の管理職(課長職以上)を対象とした「BIMマネジメント講習」を実施した。

» 2026年08月17日 10時00分 公開

 BIMの社内講習と聞くと、「Autodesk Revit」などのBIMソフトウェアや「Autodesk Forma」などのクラウドソリューションの使い方を学ぶ研修を思い浮かべる人は多いだろう。筆者も前職では、そういった教育を展開してきた。それは、過去の連載でも触れている(※設計BIM全社移行を実現する社内教育の秘訣【第9〜12回】)

 BIM導入期では、「担当者だけでなく、管理職や派遣社員、協力会社まで、業務に関わる者は全員、業務内容に応じてBIM標準を教え込まねばならない」として、管理職に対してもBIMソフトウェアの使い方に関する教育を行うことがある。確かに、BIMソフトウェアを全社で活用するには、管理職がBIMソフトウェアを使えるようになった方が良いし、各社でもそうした教育の機会を設けている。

 しかし今回、高砂熱学工業から依頼された管理職に対する「BIMマネジメント講習」は、それとは一線を画すものだ。講習の冒頭で「全ての設計・施工部門の管理職はBIMマネジメントを担う職務」「管理職はBIMソフトウェアを利用する役割ではないが、BIMの取り組みを計画・管理する役割」という前提を述べた。BIMとは何か、管理職としてどう取り組むべきかなどを説明し、講義と共に演習として、チームに分かれたディスカッションを交え、参加者自らBIMをどのように活用すべきかを考える場とした。

 今回は応用技術と共に、私(BIMプロセスイノベーション 代表 伊藤)が実施し、設計・施工部門の全てのライン管理職が受講した高砂熱学工業のBIMマネジメント講習の全容を紹介する。

高砂熱学工業での全管理職を対象としたBIMマネジメント講習 高砂熱学工業での全管理職を対象としたBIMマネジメント講習 提供:高砂熱学工業

※BIMマネジメントの役割とは、「BIMソフトウェアや共通データ環境(CDE)を活用するプロジェクトで、設計・施工部門の管理職が、設計・施工プロセス全体の情報を統合・管理し、その情報を活用してプロジェクトの計画・実行をマネジメントする役割」を指す

連載バックナンバー:

日本列島BIM改革論〜建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオ〜

日本の建設業界が、現状の「危機構造」を認識し、そこをどう乗り越えるのかという議論を始めなければならない。本連載では、伊藤久晴氏がその建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオを描いてゆく。

なぜ全てのライン管理職にBIMマネジメント講習を実施したのか

 高砂熱学工業では、BIMの中核ソフトウェアをRevitと位置付け、Formaと合わせて、テンプレートやファミリの整備、組織体制の構築、教育や社内展開を積極的に進めている。その過程で改めて認識したのが、設計・施工部門の管理職の役割だった。管理職は必ずしもRevitを操作して業務する立場ではない。しかし、BIMの本質は、単なるソフトウェアの導入ではなく、設計・施工プロセスそのものの変革にある。そして、業務プロセスの改革を推進し、その成果に責任を持つのは管理職だ。

 そのため、高砂熱学工業では、設計・施工部門の管理職がBIMマネジメントを担う役割と位置付け、今後配置するBIMコーディネーターと連携しながら、BIMプロジェクトの計画策定と運用管理を担うべきと捉えている。その意義と必要性を理解し、自らの役割として実践してもらうために、BIMマネジメント講習を企画した。

 以上の話を聞いたとき、私は高砂熱学工業が目指しているのは単なるBIMモデル活用の拡大ではなく、BIMや情報マネジメントを通じた業務プロセスの改革そのものだと感じた。その強い思いに応えるべく、本講習の実現に向けて真摯(しんし)に向き合った。

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