国産建設用3Dプリンタで、公共/民間の構造物を全国各地で制作しているベンチャー企業のPolyuse。一般的には、建設用の大型3Dプリンタは海外メーカーが先行しているイメージだが、代表取締役 大岡航氏は「一戸建てがメインで、土木に代表されるシビルエンジニアリング領域では日本がリードしている」と話す。その差別化ポイントを多数の実例を紹介した講演から探った。
現代の建設業界には、対処すべきいくつかの課題がある。日本においては、技術を持ったベテランの大量退職が迫っている。加えて、新しく建設業に入ってくる若手が少ないといった労働力の問題がある。また、老朽化が進むインフラ施設の更新、デジタル技術を活用した新しい工法やソリューションへの対応も必要だ。
Polyuse(ポリウス) 代表取締役 大岡航氏は、「第9回 JAPAN BUILD TOKYO−建築の先端技術展−」(会期:2024年12月11〜13日、東京ビッグサイト)で、「非常識が常識になっていく時代〜国産唯一の建設用3Dプリンタ企業の挑戦〜」の演題で、建設用3Dプリンタの普及について、海外との違いを交えて解説した。
Polyuseは2019年6月の設立し、独自でロボットアーム式建設用3Dプリンタを開発した。2022年には、10平方メートル以上の建築物に用いる建築部材の製作に成功したことが報じられるなど、日本での建設用3Dプリンタのパイオニア的存在となっている。
大岡氏は、講演テーマにある“非常識”という言葉に対し、以下のChatGPTによる出力文を読み上げ、ルールや状況が変わりつつある現在では、これまでの常識が変わる可能性があると提言した。
現在、日本の建設業界では、働き手不足に代表される重要な問題に対応することが求められている。だが問題の多くは、従来の常識ややり方では対応できない。そのため、「非常識が求められている」ともいえる。
建設業に3Dプリンタを導入すると、人材不足に起因する工期の長期化が回避できる可能性がある。大岡氏は「日本の現状を踏まえ、こうした技術を活用していく時代があってもよいのではないか。そのために建設業界をテクノロジーの力でアップデートしていきたい。ただ、3Dプリンタなどの新しいテクノロジーは、職人の仕事やこれまでの工法を奪うものではない」とただし書きし、ベテラン職人がわざわざ作業しなくてもよい部分は、3Dプリンタを活用することで、時代にマッチした現場にできるとの持論を述べた。
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