日本の住宅環境を研究し、清掃の死角ゼロへ 吸引力3倍と強力な拭き取り能力の新ルンバ製品動向

日本向けルンバの第2弾となる新製品「Roomba Plus 515 Combo」には、代表執行役員社長 山田毅氏の実体験が反映され、日本の住環境に合うように従来モデルに比べて格段にコンパクトとなった。吸引力は従来モデル比で3倍ながら、高さを8.4センチに抑え、ローソファの下やシステムキッチンや洗面台の最下部にある蹴込みの奥も掃除する。

» 2026年07月14日 18時15分 公開
[川本鉄馬BUILT]

 アイロボットジャパンは2026年5月27日、日本の住宅環境に最適化された最新モデル「Roomba Plus 515 Combo ロボット + AutoWash充電ステーション」を発表した。ロボット掃除機市場で大ヒットとなった2026年2月にリリースした「Roomba Mini」に続く、「日本向けルンバ」の第2弾となる。

 アイロボットジャパン 代表執行役員社長 山田毅氏は、本製品を「日本から世界へ輸出される新たなスタンダード」と位置付ける。日本で企画されたコンパクトな製品コンセプトは、現在ヨーロッパでも高く評価されており、品切れが起きるほどの支持を得ているという。

 新しいルンバが日本市場に向けてどのような機能を搭載しているのか。また、経営戦略はどうなっているのか。開発の指揮を執った山田氏と、経営戦略担当ディレクターの山内洋氏に聞いた。

「社長自らの困りごと」から生まれた、薄さ8.4センチと死角なきナビゲーション

「Roomba Plus 515」 「Roomba Plus 515」 提供:アイロボットジャパン

 Roomba Plus 515での最も劇的な変化は、本体天面から「突起」が完全に消えたことだ。従来の多くの高精度ロボット掃除機は、周囲360度を見渡すための「LiDARセンサー」が天面から突き出ており、ソファや棚の下などに入り込む際の物理的な妨げとなっていた。解消するには、突起をなくすことによる本体の小型化が避けられない。

 小型化の背景には、山田氏の極めて個人的な実体験も強く反映されている。山田氏は、「私自身、自宅に最新のソファを導入した際、従来のルンバが数センチの差で入らず、困った経験がある」と明かした。さらに、「Miniは素晴らしい製品だが、多くのペットを飼い、家族も多い私の家では、清掃容量が足りなくなることもあった。日本の住環境では、小ささ、薄さ、そして高い清掃性能の全てがそろわなければならない」と力強く主張した。

新製品「Roomba Plus 515」を手にポーズするアイロボットジャパン 代表執行役員社長 山田毅氏 新製品「Roomba Plus 515」を手にポーズするアイロボットジャパン 代表執行役員社長 山田毅氏 筆者撮影

 経営戦略担当ディレクターの山内洋氏は、「突起をなくしつつ、ライダーと同等の高精度なナビゲーションを維持することは、技術的に極めて困難な挑戦だった」と振り返る。解決策となったのが、独自開発したLiDARモジュール「Integrated Line Laser(インテグレーテッド ライン レーザー)」だ。新モジュールは、マッピング用の水平レーザーと、障害物回避用の前方下部レーザーの2つを同時に出力する。革新的な機構によってロボットの上部ではなく前面のウィンドウ内への設置が可能になり、突起をなくした小型化を実現した。

 山内氏は「薄型化と小型化をこれほど高い次元で両立している製品は他になく、おそらく世界初。本体の厚さをわずか8.4センチ(従来比マイナス2.2センチ)までに抑えた」と、その技術的ブレークスルーを強調する。ちなみに、Roomba Plus 515の体積は、Roomba Plus 505と比較して46%も小型化している。

従来モデルの「Roomba Plus 505」を手にするアイロボットジャパン 経営戦略担当ディレクターの山内洋氏。新モデルでは、「センサーを格納した上部の突起をなくしたことで薄型化できた」と説明する 従来モデルの「Roomba Plus 505」を手にするアイロボットジャパン 経営戦略担当ディレクターの山内洋氏。新モデルでは、「センサーを格納した上部の突起をなくしたことで薄型化できた」と説明する 筆者撮影
新モデルは、センサーを格納した上部の突起をなくしたことで薄型化した 新モデルは、センサーを格納した上部の突起をなくしたことで薄型化した 筆者撮影

 新製品は、キッチンキャビネットの足元などにある「蹴込み(けこみ)」と呼ばれる10センチ程度の隙間にも余裕を持って侵入できる。また、部屋のマッピングも10分足らずで完了する。「あと数センチ」に寄り添うテクノロジーを再設計した点からも、アイロボットジャパンの日本の生活者目線を重視している姿勢がうかがえる。

薄型のため、蹴込みの奥や低い家具などの下も掃除できる 薄型のため、蹴込みの奥や低い家具などの下も掃除できる 筆者撮影

「日本の隅々」にこだわる可動式機構と、75度温水洗浄の“きれい”の新基準

 「小型化を進めれば、清掃性能が犠牲になる」という懸念に対し、山内氏は「Roomba Plus 515に関しては、全ての性能で一切の妥協をしていない」と断言。新製品の吸引力は、従来機種のRoomba 105 Comboと比べ3倍となるラインアップ中最強クラスに引き上げた。

 さらに注目すべきは、日本のユーザーが厳しくチェックする「部屋の隅」の清掃能力だ。山内氏は「日本のユーザーは、家の中を隅々まで徹底的にきれいにしたいというニーズが非常に強い。応えるために、物理的な新機構を新たに詰め込んだ」と説明する。

 その1つが壁際を攻めるための「PerfectEdge(パーフェクトエッジ)テクノロジー」と名付けられたクリーニングブラシだ。通常時は本体内に収まっているが、壁際を検知すると外側へ大きく張り出し、角にたまったゴミをかき出す。

 2つ目は、毎分180回転する伸縮式の「DualClean(デュアクリーン)モップパッド」だ。水拭き時にモップが本体の外側までスライドして届くため、壁のギリギリまで拭き上げる。

「Roomba Plus 515」は、必要に応じてブラシやモップパッドが外側にスライドする。壁際はもちろん、椅子の脚周辺なども確実に掃除できるようになった 「Roomba Plus 515」は、必要に応じてブラシやモップパッドが外側にスライドする。壁際はもちろん、椅子の脚周辺なども確実に掃除できるようになった 筆者撮影

 本体同様、充電ステーションの「AutoWash充電ステーション」も、日本の住宅に合わせて大きく進化した。これまでの自動ゴミ収集機能に加え、新たに約75度の温水によるモップ洗浄機能と温風による乾燥機能を搭載した。

 山内氏は「温水で洗うことで雑菌やニオイを元から抑制し、その後は約45度の温風で徹底乾燥させる。裸足で過ごす機会が多い日本の夏でも、常にきれいなモップで掃除を開始できる」と、そのメンテナンス性の高さを強調した。

「Roomba Plus 515」の充電ステーションは、モップの温水洗浄と温風による乾燥機能を備える 「Roomba Plus 515」の充電ステーションは、モップの温水洗浄と温風による乾燥機能を備える 筆者撮影

 充電ステーション自体のサイズも、従来モデルよりも奥行が約10センチコンパクトになり、限られたスペースにも設置しやすくなった。また、日本のユーザーの声を反映し、給水タンク容量を20%大型化し、給水回数を大幅に減らした。

日本独自の「おもてなし」サービスと、世界を席巻する日本発の戦略

 ハードウェアの進化に加えて、山田氏が「本製品の大きな柱」として掲げるのが、国内クリーナー業界初となるコンシェルジュサービス「ルンバ プレミアム特典」だ。本製品が単なるグローバルモデルのローカライズではなく、サービス面でも日本の消費者の期待に応えるために設計された「日本独自のおもてなし」であることを示すものだ。

 特典には3本の柱があり、通常1年のメーカー保証期間が3年に延長されることと、優先的にサポートを受けられる「プレミアム専用ダイヤル」の開設だ。山田氏は「日本の利用者は、購入直後のセットアップ時に相談されるケースが多い。海外では故障時に電話をするのが一般的だが、日本の顧客は『最初からしっかり使いこなしたい』と思っている。専任オペレーターが丁寧に対応することで、ルンバのある生活をより豊かに、長く楽しんでいただきたい」とサポート体制強化の意図を話した。

 特典の3本目は、紙パックやフィルターなど、約8000円相当分の消耗品をあらかじめ購入時に同梱していることだ。追加購入の手間が省け、適切なメンテナンスによる製品の長期使用が可能になる。

「ルンバ プレミアム特典」について説明する山田氏 「ルンバ プレミアム特典」について説明する山田氏 筆者撮影

 山田氏は「かつてはアメリカの大きな家向けの製品をそのまま輸入するケースがほとんどだったが、今は日本で企画された製品のコンセプトが世界へ輸出される時代になった」と、日本法人の役割が大きく変わったことを強調した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR
スポンサーからのお知らせPR
Pickup ContentsPR
あなたにおすすめの記事PR