大林組は、同社の次世代型研修施設として、全ての地上構造部材を木材とした高層純木造耐火建築物「Port Plus」を神奈川県横浜市で建設した。建物は、純木造耐火建築物として、国内最高となる高さ44メートルを達成した。
大林組は、同社の次世代型研修施設として、全ての地上構造部材(柱・梁・床・壁)を木材とした高層純木造耐火建築物「Port Plus」を神奈川県横浜市で建設したことを2022年5月20日に発表した。
建築物への木材利用は、CO2を長期間固定することで脱炭素社会の実現に貢献するだけでなく、「使う、植える、育てる」というサーキュラーエコノミー(循環型経済)の観点からも注目されており、顧客からの関心とニーズが高まっている。
そこで、大林組は、循環型資源である木材利用の拡大と促進による持続可能な社会の実現を目指し、木造建築の普及を推進している。
こういった取り組みの一環として、全ての構造部材を木材とする純木造建築が木材利用の促進につながると考え、神奈川県横浜市で「これからの知を育む場」をコンセプトとした次世代型研修施設として、高層純木造耐火建築物のPort Plusを建設した。
Port Plusは、1990立方メートルの木材を使用しており、これにより約1652トンのCO2を長期間にわたり、安定的に固定することに応じる他、材料製作から建設、解体・廃棄までのライフサイクル全体では、S造と比べて約1700トンのCO2削減効果がある。
さらに、地上構造部材にコンクリートを使用しないため、コンクリート打設時の粉じんやほこり、大きな騒音などを抑えられ、周辺環境に配慮した施工を達成した。加えて、部材を事前に工場で製作することで、高い施工品質を確保し、施工スピードのアップにより、1フロアの施工期間を、S造で通常生じる10日と比較して3日少ない7日となった。
建物は、木材の耐火性や高層化による耐震性への課題に対する解決策として、3時間耐火を達成した構造材「オメガウッド(耐火)」だけでなく、S造やRC造と変わらない強度・剛性を確保するための接合法「十字形の剛接合仕口ユニット」などを用いた大林組独自の開発技術を採用した。
内部は、各フロアに集合研修やディスカッション、個人用ワークスペースなどの用途に対応する部屋を設け、使用目的に沿って木や緑、光により五感を刺激する空間を演出し、心身を整え、「これからの知を育む場」となるように木の特性を生かしたデザインに仕上げた。
環境配慮に関しては、「ZEB Ready認証」「CASBEE横浜」の「Sランク」「FSCプロジェクト認証(FSC-P001889)を取得しただけでなく、現在、「WELL認証」「LEED認証」の本認証(プレ認証取得済み)の獲得を目標に掲げている。
今後は、大林組の次世代型研修施設として、企業文化の醸成や発信を行い、心身を健康に保つウェルネスな空間での活発なコミュニケーションにより、新たなイノベーションの創出につなげる。
Port Plusは、木造地下1階/地上11階建てで、延べ床面積は3502.87平方メートル。所在地は神奈川県横浜市中区で、敷地面積は563.28平方メートル。
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