三菱電機は、店舗/事務所用パッケージエアコンの新製品を発表した。地球温暖化、働き手不足、エネルギーコストの上昇といった社会課題を、空調機を通して解決するという思いを込めて開発された新型機には、省エネと快適性を両立する多数の機能が搭載されている。
三菱電機は2025年2月14日、東京千代田区の本社内で、店舗/事務所用パッケージエアコンの2025年度新製品を発表した。2025年5月12日から順次発売する。
同社の店舗/事務所用パッケージエアコンの源流は、1978年に開発された「Mr.Slim(ミスタースリム)」にある。いす1つ分のサイズをコンセプトに開発されたこのモデルは、従来機の約半分である横幅45センチを実現し、大きな話題を呼んだ。同社の店舗/事務所用パッケージエアコンは、今なおMr.Slimの名称で販売されている。
今回発表された新型機は、地球温暖化、働き手不足、エネルギーコストの上昇といった現代の社会課題を、空調機を通して解決するという思いをこめて開発された製品だ。新たなキャッチコピーである「HAPPY ON AIR」を掲げる本機のポイントは、省エネ、省力化、環境配慮の3点。快適性を維持しながら省エネ性を高め、施工/点検の時短も実現、遠隔監視/操作にも対応している。
省エネ性の面では、店舗/事務所用パッケージエアコンのP40、P45、P63、P112、P140、P224、P280形を、4方向天井カセット形〈i-スクエアタイプ〉に接続した際に、業界トップクラスのエネルギー消費効率を発揮する。そのハードとしての省エネ性の高さを、新機能の「デュアルオートモード」と「センシングエコドライ」で底上げする。
デュアルオートモードは、春秋のエアコンの使い方に着目して開発された。春秋の季節は、朝晩の寒暖差が激しく、気象庁が発表した2024年4月のデータでは、多くの地域で最高気温と最低気温の差が10℃以上あるという。このような季節にエアコンを自動モードで動かすと、1日のうちで冷暖房を切り替えて運転することになる。
だが従来機では温度を1つしか設定できなかったため、暖房による暖めすぎ、冷房による冷やしすぎでロスが発生していた。そこで新型機では、冷房と暖房でそれぞれ異なる2つの温度設定が可能なデュアルオートモードを搭載。これにより、快適な温度帯を維持しつつ、消費電力を最大約30%削減できる。
また、温度と湿度のバランスにフォーカスしたのが、センシングエコドライだ。同じ温度の部屋でも、湿度が異なれば体感温度は変わる。高湿度では蒸し暑く感じるが、湿度が下がると体感温度も下がって快適になる。
従来の冷房では、室温が設定温度まで下がると冷房と送風の断続運転に切り替わるため、気温と湿度に波ができてしまい、快適性が損なわれていた。それに対しセンシングエコドライを搭載した新型機は、温湿度を一定に保つことが可能になり、ジメジメした梅雨など、湿度による不快感が起こりやすい季節でも快適性を維持できるようになった。またセンシングエコドライによって、省エネ性能も通常の冷房運転と比べて約20%向上した。
これらの新機能に加え、三菱電機独自の技術「人感ムーブアイ」が、省エネ性能をさらにアップさせる。人感ムーブアイは、「省エネ自動モード」と「在室率省エネモード」の2つの機能から成る。
省エネ自動モードは、人感センサーで人のいるエリアを感知し、そこが快適になるように空調を制御、無駄な冷暖房を抑制する機能。また在室率省エネモードは、部屋にいる人が少ないとき、空調パワーを抑制して省エネを図る機能だ。在室率が30%程度の場合は、1℃分の空調パワーをセーブするという。この人感ムーブアイは、三菱電機の家庭用ルームエアコンにも搭載されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.