高谷中学校 教諭 原慎弥氏は、現代の中学生が置かれている状況について、「今の子どもは、情報化社会の中で多くの知識を得ているが、将来の夢で動画配信者やゲーム実況者を挙げる子も多く、現実を直視していない面もある。今回の授業は、リアリティーを持ってキャリア形成に向き合える貴重な機会となった」と評価した。
参加した生徒は、左官職人の道具を手に持ったり、ガラス工事で使うガラスが割れないかをハンマーで叩いて試したりした。また、とび職が10キロもの装備を身に着けていることも教わった。こうした生の声や体験は、インターネットで調べるだけでは決して得られないものだ。
原氏は、建設業の仕事を「身近に親戚などがいない限り、具体的に何をしているか見えにくい」と指摘。だからこそプロの生の声は、「中学2年生の職場体験学習への橋渡しとしても、価値がある」と強調した。
授業を受けた生徒の感想からは、建設業に対するイメージが大きく変わったことがうかがえた。
或る生徒は「身近に感じていない職業ばかりだったけれど、陰で生活を支えてくれていて、災害からも身を守ってくれていることを知った」とコメントし、自分たちの日常や安全が建設業に従事する人々に支えられていることを実感したようだ。
他の生徒は「1社だけで全部やっていると思っていたけれど、たくさんの会社が関わっていることに驚いた」という声も聞かれた。「今はまだ将来が見えていないけれど、将来に関われたらいいなと思う」と口にする生徒もおり、今回のプログラムがキャリア形成の刺激になったことが分かる。
清水建設とディップ、そして協力会社が一体となって作り上げた今回のキャリア教育授業は、建設業界の「今」を中学生の心に深く刻み込んだ。「情報のデジタル化が進むからこそ、本物の体験と対話が重要になる」という原氏の言葉通り、職人たちの熱い語りと道具に触れた感覚は、建設業界の今を中学生に伝え、生徒たちの職業観を広げる糧となっただろう。
キャリア教育授業「見る、知る〜建設の世界〜」は、未来の建設業界を支える「種まき」として、3K(キツイ、汚い、危険)のイメージを払しょくし、現場の熱を将来の担い手となってくれる若き芽たちへ確実に伝えた。清水建設の岡田氏は「今後もこうしたリアルな見る、知る機会を他地域や小学生などへも広げていきたい」と意気込みを語った。
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