続いてグラフィソフトジャパンのカスタマーサクセス シニアディレクターを務める飯田貴氏が、「製品戦略とサービスの最新情報」のテーマで登壇。Archicad 29の目玉機能となっている「AI Assistant(BETA)」と「MEP Designer」を紹介した。
AI Assistantは2026年中の正式リリースを予定しており、シンプルなテキストプロンプトから建築パースやデザインを生成する他、反復する作業の自動化や設計情報の分析なども可能にする。飯田氏は「予算の削減、効率アップによる人材不足の解消、廃棄物やCO2排出量の抑制など、生成AIはあなたの設計パートナーとして究極の生産性をもたらし、建設業界を悩ます長年の課題解消にもつながるはずだ」と自信をみせた。
新規追加したのが、最新のBIM環境で機械や電気、配管といった設備設計ツール「MEP Designer」だ。設備機器と配線や配管のスマート接続、ワンクリック配置、勾配モデリングの強化、未接続箇所の特定など、設備系のBIMモデリングを支援する。Archicadとの完全互換性があり、ツールを切り替えることなくシームレスに使える。
なお、AI AssistantやMEP Designerは、今後、全てのGraphisoftソリューションに標準で組み込まれる。
飯田氏は、迅速かつ高度な設計を実現するArchicadの次世代クラウドプラットフォーム「Project Aurora(プロジェクトオーロラ)」にも触れた。建築家のデザインをAIによって最適化するツールで、Archicad 29の発売と同時期に提供を始めたばかりのサービスだ。「まだ手探り段階の部分もあるため、設計者の意見を反映しながら改良に努めていきたい」と飯田氏。
イベント視聴者からは、Project Auroraについて「具体的に何ができるのか、もっと詳しく知りたい」という質問が投げかけられた。トロム氏は「クラウドベースのツールなので、あくまでArchicadとは別のものとして考えてほしい。建築プロジェクトの企画や設計初期の段階で活用し、Project Auroraで作成した設計イメージをスムーズにArchicadのBIMモデルにつなげていくような使い方を想定している」と回答した。
ソフトウェアの垣根を超えてBIMの拡張性を高める“OPEN BIM”の観点では、Archicad 29はBIMデータの国際標準フォーマット「IFC」との互換性はもちろん、CO2を可視化する算定ツール「One Click LCA」、建設プロジェクト情報を一元管理するプラットフォーム「Catenda」、パナソニック エレクトリックワークス社が提供する照明器具の配置検討に用いる「Lightning Flow」や照度シミュレーション「Luminous Planner」などとも連携する。
従来バージョンからの細かな改良も施している。建築構造分野での情報交換のための標準フォーマット「ST-Bridge」ファイルをArchicadにインポートやエクスポートするためのアドオン「STB Converter」の改善、エクスポート時のフロア高さ調整、プレキャスト対応などだ。近日中には、大梁/小梁のカットバック機能も搭載する。
ユーザー会のACUG(Archicad Construction User Group)では、Archicadの活用の幅をより広げる「施工図作成ハンドブックRC 躯体図編」の小冊子も発行し、メンバー限定で配布している。
Archicadの教育面では、BIMの基礎から応用をイチから学び、3カ月間で目的に合わせた活用方法をマスターできるトレーニングプログラム「BIM Classes」、Archicadを学生向けに無償提供する「学生版ライセンス」なども用意している。
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