ソラカメの特徴は、単なる現場映像の取得や遠隔監視にとどまらず、取得した映像データを業務改善に生かせる点にある。クラウド録画ライセンスの標準サービスとしてAPIを提供し、映像データは外部サービスと連携して活用できる。
2025年11月からは、撮影した映像から静止画を切り出し、生成AIで画像分析して結果を通知する新機能「ソラカメAI」の提供を開始。人が目で見て判断する作業をAIが代替する機能で、利用者が管理画面上で確認したいカメラを選択し、日本語で分析内容の指示や分析のタイミング(定期的な分析か、画面に動きがあった場合に分析するか)、通知先を設定すると、分析結果が自動送信される仕組みだ。
ソラコムの担当者によると「建設現場で想定されるユースケースとしては、立ち入り禁止エリアへの侵入検知や、ヘルメットや安全ベスト、安全靴の未着用検出など、安全管理に関わる用途が想定される」という。従来はこうした画像解析を行うために学習データを準備し、専用モデルを構築する必要があった。生成AIの進化により、現在ではプロンプトを入力するだけで映像から必要な情報を判別できるようになった。
さらに、ソラコムが提供するローコードIoTアプリケーションビルダー「SORACOM Flux」を用いることで、業務の自動化につなげられる。SORACOM Fluxは、専門的なプログラミングの知識がなくても、情報の取得から条件判断、指示やアクションまでを組み合わせたアプリケーションを構築できる。カメラ映像内の動きや音の変化をトリガーに、作業者の転倒を検知してアラートを発出したり、車両の到着を検知して自動的に通知や記録を行ったりするシステムの構築が可能となる。生成AIはOpenAIのGPT-4やGoogle Gemini 2.5など複数のモデルから選択でき、用途やコストに応じた使い分けに対応する。
担当者は「単純に監視カメラを設置したいというニーズよりも、現場の課題解決の手段としてデータ活用まで見据えた相談を受けることが多い。建設現場では通信環境や電源の制約に加え、故障リスクが高いため高価な機器を設置しにくい、設置や撤去の柔軟性が求められるといった課題がある」と説明。こうした現場では低価格で可搬性の高いソラカメの特性が生きるとしている。
ソラコムは、ソラカメを起点に現場の見える化や安全管理を強化し、映像データと生成AIを組み合わせた業務の高度化を支援していく。
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