日本損害保険協会は、公共工事の保証証券をオンラインで照会できるWebシステムの運用を開始した。発注機関は証券の真贋を認証キーで即座に照会可能で、偽造リスクを排除できる。面倒な紙ベースの授受を解消し、公共工事の建設DXを加速させる。
日本損害保険協会(損保協会)は、公共工事の契約手続きで損害保険会社が発行する「公共工事履行保証証券」の真正性を発注機関がWeb上で照会できる「保証証券等確認システム(WEBプラットフォーム)」の運用を2025年11月17日に開始した。これまで紙媒体が主流だった保証証券の授受や確認プロセスをデジタル化し、行政手続きの効率化とペーパーレス化を加速させる。
政府が進める「デジタル社会の実現に向けた重点計画」や公共工事の電子契約普及に伴い、損害保険業界でも保証証券の電子化対応が急務となっている。今回、運用を開始した保証証券等確認システム(WEBプラットフォーム)は、損害保険会社が発行した履行保証証券や入札保証保険証券などのデータを一元的に管理し、発注者(国、地方公共団体など)がオンラインでその真正性を即座に確認できる仕組みだ。サービス提供時間は、6時から24時(土日祝日と年末年始の12月31日〜1月3日除く)。
対象は、損保協会会員の損害保険会社が扱う「公共工事履行保証証券」「公共工事履行保証保険証券」「入札保証保険証券」「前払金保証証券(損保会社発行分)」などだ。発注機関は、受注者から通知された「認証キー(証券番号や確認用コードなど)」を専用サイトに入力することで、当該証券のステータスや内容を閲覧できる。
従来、公共工事の受注者(建設業者など)は、損害保険会社から紙の証券を受け取り、発注機関に提出する必要があった。また、発注機関側も、提出された証券の原本確認や保管管理に多大な事務負担を要していた。
システム導入で、受注者は証券の受領や提出のために移動する必要がなくなり、発注者もWeb画面上で容易に内容確認が可能となるため、契約締結までのリードタイム短縮がもたらされる。証券が電子化することで、原本の保管スペースも不要となり、紛失リスクもなくなる。発注者にとっては、保証証券データが損害保険会社によって正規に発行されたかを直接照会できるため、偽造証券などの不正を排除できる。
損保協会はWEBプラットフォームの稼働を通じ、公共工事分野のDXに貢献し、会員各社と連携して利用促進を図り、社会全体の業務効率化を支援していく方針だ。
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