奥村組と昭和コンクリート工業が開発したプレキャストPC床版の継手工法「Zスパイラル工法」が、床版の幅員方向分割取り換え工事で適用可能になった。
奥村組は2025年9月18日、昭和コンクリート工業と、プレキャストPC床版の継手工法「Zスパイラル工法」を用いて取り換え、縦目地で接合したPC床版が、輪荷重走行試験で100年に相当する耐久性を持つと確認したと発表した。床版の幅員方向分割取り換え(半断面施工)工事で適用できる。
標準工法の「ループ継手工法」は、ループ筋内に6本の橋軸直角方向鉄筋を挿入する作業に多くの時間と労力を要する。Zスパイラル工法は、橋軸直角方向鉄筋の代わりに、特殊らせん鉄筋「Zスパイラル筋」をループ筋の上部から挿入し、結束固定する仕組みで、接合部に要する作業時間を約75%短縮可能。
老朽化した既存コンクリート床版をプレキャストPC床版に更新する場合、工事中の走行車線の確保として、幅員方向の半断面ごとに分割して施工するケース(半断面施工)がある。1次施工で半断面の床版を先行して取り換え、2次施工では走行車線の切り替え後に残りの半断面の床版を交換する。その後、縦目地において1次施工床版と2次施工床版を一体化するため、PC鋼材を用いてプレストレスを導入することで結合する。
横目地における床版の接合は標準工法で行うのが一般的で、Zスパイラル工法の場合には縦目地で接合した床版が十分な疲労耐久性を有するのか確認する必要があった。
奥村組と昭和コンクリート工業は、横目地においてZスパイラル工法で接合した床版を、縦目地で一体化させた実規模の床版供試体を作成し、輪荷重走行試験を実施。その結果、100年に相当する耐久性を有すると確認した。縦目地での接合が必要な幅員方向分割取り換え工事で、Zスパイラル工法が適用可能であることを実証した。
奥村組は今後、高速道路の床版分割取り換え工事にZスパイラル工法を積極的に提案し、普及拡大を目指す。
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