前田建設工業は、山岳トンネルの鋼製支保工建込みをワンボタンで自動化する「全自動鋼製支保工建込みロボット」を開発した。上半支保工/下半支保工建込み作業で、作業者の切羽直下への作業者の切羽直下への立ち入りをなくした。
前田建設工業は2025年9月4日、山岳トンネル工事の鋼製支保工建込みを自動化する「全自動鋼製支保工建込みロボット」を開発し、国交省発注の4現場に導入したと発表した。作業者の切羽直下への立ち入りをなくし、安全性と生産性の向上に寄与する。
支保工建込み作業は切羽直下に作業員が立ち入る必要があり、肌落ちによる重篤災害のリスクが高い作業とされてきた。前田建設工業は2017年から切羽直下立入ゼロを目指す取り組みを進めてきた。
今回導入した全自動鋼製支保工建込みロボットは、上半支保工に設置したミラーによる計測と頭付きアンカーの採用により、設計位置への正確な誘導を実現。建込み精度の向上を図った。操作は熟練度に依存しないワンボタンで完結する。さらに、エレクタ一体型吹付け機とすることで支保工建込みとコンクリート吹付けを同時に進められ、施工スピードが向上。ワンマンオペレーター作業が可能となった。
安全面では、天端のワンタッチ継手や金網の事前設置、計測用ミラーの回収機などを使用することで、上半支保工建込み時の切羽周辺や直下での作業を不要とした。
また、下半支保工建込みについても、上下半接続部にワンタッチ継手を採用して重機近接作業を回避。下半支保工にもミラーを設置し、ナビゲーション建込みによって自動施工を可能とした。
全自動ロボットは、2025年7月時点で、近畿地方整備局発注の「大野油坂道路 大谷トンネル大谷地区工事」、北海道開発局発注の「一般国道5号仁木町外新稲穂トンネルL側仁木工区工事」、中部地方整備局発注の「令和6(2024)年度 153号新伊勢神トンネル工事」、四国地方整備局発注の「令和4-6(2022-2024)年度 福井道路新野トンネル工事」の4現場に適用された。
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