戸田建設は、メーカーや機種を問わず全てのドリルジャンボに後付け可能なロックボルト施工装置を開発した。
戸田建設は2025年8月19日、虎乃門建設機械の協力を得て、既存のドリルジャンボに後付け可能なロックボルト施工装置を開発したと発表した。メーカーや機種を問わず全てのドリルジャンボに対応しており、小規模な現場でも導入可能で、ロックボルト施工の機械化と施工時の安全性向上に寄与する。
従来の山岳トンネル工事のロックボルト施工は、ドリルジャンボのマンケージ内で定着材充填やロックボルトの挿入/押込みを行う必要があり、切羽に近接して行う作業のため危険性が高く作業者の負担も大きかった。戸田建設ではこれまで、セミオートロックボルト打設機「ロボルト」などの施工システムの開発に取り組んできた。しかしドリルジャンボとは別に特殊なロックボルト専用機を使用する必要があり、導入コストを含む施工機械費の増加や操作の特殊性などが一般的規模のトンネル現場への普及の障壁になっていた。
新装置は、ロックボルトの削孔位置を吹付け面へ直接レーザー照射する「削孔位置ガイダンス装置」、ケミカルレジンタイプの定着材をロックボルト孔内に指定量射出する「定着材施工装置」、ロックボルトを挿入する「ロックボルト押込み装置」から成る。加えて、各種設定や操作、作業手順を明示する「タッチパネル式専用ナビケーション装置」を用意し、直感的な操作性を実現した。
新装置は既存のドリルジャンボのガイドセルにボルトオンで装着可能な汎用性を有し、現場搬入時/搬出時に半日程度で脱着可能。装着した状態で発破孔の削孔も可能なため、全体の施工サイクルに影響を与えない。削孔位置出しは施工済みロックボルトの頭部を3カ所測定することで吹付け面にレーザー照射を行い、トータルステーションによる測定を不要とした。
ロックボルト押込み装置へのロックボルトセット以外は機械化されており、マンケージ内での作業や切羽への近接作業、高所作業がなくなるため安全性が向上する。導入コストはロックボルト専用機の1割程度に低減できるという。
今回はケミカルレジンタイプの定着材を使用したが、今後はモルタル定着材の実用化を進める。装置の本格運用を通じて操作性や利便性を向上させ、リース展開も視野に入れて、小規模現場でも導入可能なロックボルト施工装置を提供していく方針だ。
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