舗装工事の全工程をICT化、アカサカテックの堅牢タブレット軸に“情報化施工”推進第7回 国際 建設・測量展(2/3 ページ)

» 2025年08月04日 19時49分 公開
[加藤泰朗BUILT]

路面切削の出来形管理を省力化

 「舗装工事におけるICTソリューション」と題した特設コーナーでは、各工程をICT化する複数のソリューションを紹介した。

アカサカテックが提供する舗装工事向けICTソリューションを一堂に紹介するコーナー アカサカテックが提供する舗装工事向けICTソリューションが一堂に会したコーナー

 路面切削の出来形管理を省力化するのが、切削厚計測システム「SmartScraper(スマートスクレーパー)」。建機のGNSSアンテナで刃先の座標を取得し、パネルに表示される切削厚の数値をカメラで撮影して、OCRで文字をデジタル化。それぞれのデータをアカサカテック製の堅牢型多機能タブレット「HTD320」(Android OS対応)にインストールした専用アプリに同期し、施工履歴を生成する。

切削厚計測システム「SmartScraper」の紹介コーナー。左側に見える端末が堅牢型多機能タブレット「HTD320」 切削厚計測システム「SmartScraper」の紹介コーナー。左側に見える端末が堅牢型多機能タブレット「HTD320」

 取得したデータは、施工中の軌跡とともに連続記録し、巻尺やレベルを使った出来形計測と比べ、大幅な手間削減となる。記録されたデータはクラウドに保存され、出来形分布図の表示や印刷も可能だ。

 切削で発生した廃材の運搬には、工事車両運行支援システム「VasMAP(バスマップ)」が役立つ。ルート上の事故多発カーブや一時停止箇所といった危険箇所(KYマップ)を音声で注意喚起し、安全運転を支援する。

 システムは、車両のダッシュボードに設置するタブレットとクラウド、GNSS、管理者用Webアプリケーションで構成。出発/到着/待機/休憩などのイベントも自動で時刻や位置情報を付加して管理者に送信されるため、その都度報告する必要がなくなり、ドライバーは運転に集中できる。イベント項目はカスタマイズ可能で、カメラ機能を利用した写真報告は緊急時に状況を伝えるのに有効となる。

 車両のタブレットから発信される位置情報で、管理者は離れた場所に居ながら各車両の動きをリアルタイムで管理でき、工事車両の安全運転や最適配車が実現する。運行履歴や1日の運搬回数は帳票として出力可能で、管理負担の軽減にも寄与する。

工事車両運行支援システム「VasMAP」の車載用タブレット 工事車両運行支援システム「VasMAP」の車載用タブレット

 VasMAP搭載の運搬車両で回収されたアスファルトは、再利用のためストックヤードに保管される。その在庫管理を効率化するのが、前述の在庫計測システムLiaLiS㎥だ。

 ストックされたアスファルトを合材として現場に運ぶ際は、再びVasMAPを活用する。「アスファルトを再利用する際は、運搬中の温度管理が重要となる。VasMAPには、温度を記録するオプション機能も備わっている」と担当者は補足する。

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