2025年度から国交省の直轄土木工事のうち、「土工」と「河川浚渫」で小規模でも発注者指定を基本としてICT施工が原則化される。建機メーカーのコマツはこうしたICT施工の拡大に対応すべく、運転席のモニターに設計図データと自機位置などを表示する施工サポート機能「3Dマシンガイダンス」を標準搭載した次世代3D施工の標準機を提案する。
コマツは、土木分野の主力機種となる20トンクラスの油圧ショベルをフルモデルチェンジし、設計図に対して掘削位置をモニターで確認できる「3Dマシンガイダンス」を標準装備した新世代油圧ショベル「PC200i-12」を2024年12月に発表した。2025年度からのICT施工原則化に向け、現場導入の提案を進めている。
国土交通省は、2016年度から建設プロセス全体を3Dデータでつなぐ新しい建設手法として、3D施工の普及を推進する施策「i-Construction」を展開している。
コマツも波に乗る形で、2015年2月に「安全で、生産性の高い、スマートでクリーンな未来の現場」を実現するため、施工プロセス全体をデジタル技術でつなぎ、最適化するデジタルソリューション「スマートコンストラクション」の提供を開始。ICTを活用した土木工事を5ステップに分け、ICT建機の“モノ”と最適化するアプリやソフトウェアの“コト”の2軸で、製品やサービスを展開している。5つのステップは、1.建機の3D化、2.地形3D化や位置情報など現場のICT化、3.デジタルツイン構築による施工全体の可視化、4.施工計画のシミュレーションによる最適化、5.その最適化された施工計画に基づく施工実行までをカバーする。
i-Constructionは、2022年度には国交省の直轄土木工事でICT施工が87%を占めるほど一定の成果がみられたものの、施工自動化技術の進展には至らなかったため、2024年に抜本的な改善策として2040年度までに省人化3割と生産性1.5倍向上を標ぼうする「i-Construction 2.0」へアップデート。「施工」「データ連携」「施工管理」の“オートメーション化”による省人化を掲げ、2025年度からは国の直轄土木工事のうち「土工」と「河川浚渫(しゅんせつ)」で、ICT施工を原則化する。これまでの施工者希望型と発注者指定型から発注者指定型のみとし、提出書類も簡素化して、順次工種を拡大する方針を打ち出している。
ICT施工への対応が待ったなしの状況にある中、コマツは土木分野の主力建機で、後付けの3Dマシンガイダンスタイプや3Dマシンコントロールといった機種ごとにバラバラの性能だった「PC200」シリーズをICT施工のスタンダードモデルとしてPC200i-12に一本化した。
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