補助制度が使える今のうちに! 建築物の省エネ認証の計画的な取得を「省エネ計算の専門家」が解説する建築物省エネ動向(5)(2/3 ページ)

» 2025年07月30日 10時00分 公開

ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業

 「省エネルギー建築物支援事業」は、ZEBの普及拡大を目的に、新築/既存建築物のZEB化を支援する事業です。ZEB化に有効なシステムや設備機器の導入に対して補助し、新築と既存で以下の2種類に分かれます。

 (1)新築建築物のZEB普及促進支援事業(経済産業省連携事業)

 (2)既存建築物のZEB化普及促進支援事業(経済産業省連携事業)

事業イメージ 事業イメージ 出典:環境省資料

 補助を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • ZEBの基準を満たすこと
  • 計量区分ごとにエネルギーの計量/計測を行い、データの収集/分析/評価ができるエネルギー管理体制を整備すること
  • 需要側設備などを通信/制御する機器を導入すること
  • 新築建築物は再生可能エネルギー設備を導入すること
  • ZEBリーディング・オーナーに登録し、ZEBプランナーが関与する事業であること
  • 建築基準法の耐震基準を満たすこと
  • 浸水想定区域外であることなど

 ZEBリーディング・オーナーとは、ZEBロードマップの意義に基づき、自らのZEB普及目標や導入計画、導入実績を公表する先導的建築物のオーナーを指します。

 また、補助率や補助対象などは以下の通りです。

補助率や補助対象 補助率や補助対象 出典:環境省資料

 補助額は、新築建築物の場合だと全ての規模で上限額3億円、既存建築物の場合は延べ床面積2000平方メートル未満は上限額3億円、延べ2000平方メートル以上は上限額5億円です。

 ただし、既存建築物のNearly ZEB(延べ2000平方メートル未満)とZEB Oriented(延べ1万平方メートル以上)の補助率は、2024年度の3分の2から、2025年度は2分の1に縮小されているために注意が必要です。

 公募期間は2025年7月22日〜2025年8月22日(2次公募)です。

 どちらも2026年度も実施される可能性が高い補助制度です。ただし、公募期間が数週間と短いため、各Webサイトを定期的にチェックしてください。

 国の補助制度は公募期間が短いだけでなく、要件や申請方法が複雑で、前述の通り年度によって内容が変わることもあります。検討する場合は、物件用途や規模、取得したい環境認証とランクをしっかりと整理したうえで補助制度を探してください。それでも難しければ、補助制度に精通した専門家に相談することをおすすめします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.