少雨時にも飛行するエアロセンスのVTOLドローン新型機 天候に左右されない点検目的で機体設計ドローン

エアロセンスは、少雨時でも飛行可能なVTOL型ドローン「エアロボウイング」の新型機を発売した。運搬時には機体を2つに分けてコンパクトに収納できるため、軽ワゴン車でも運べる。ダムや河川などのインフラ点検を中心に、災害対応や測量などでの用途を見込む。

» 2025年07月07日 16時00分 公開
[BUILT]

 エアロセンスは、防水、収納、運用の性能が大幅に進化した垂直離着陸型固定翼(VTOL)型ドローン「エアロボウイング」の新モデル「AS-VT02K」の受注を2025年6月18日に開始した。

天候に左右されない点検目的の運用を目指して機体設計

 エアロボウイングは2020年に国内初のVTOL型ドローンとして発売して以来、長距離と広域飛行の特徴を生かし、砂防ダム、河川、道路、線路などのインフラ点検、災害対応、測量、緊急物資物流など国内のさまざまな企業や自治体などで導入されている。

 新型機は、天候に左右されない環境で、さまざまな点検目的の運用を目指して設計した。IP43の防塵/防滴性能を備え、これまで飛行が不可だった雨天時(少雨)でも利用が可能となった他、ペイロードカメラの交換を簡易にするための共通ハッチを採用することで要望の多い静止画や動画、赤外線撮影に対応した。

 さらに、通信モジュール(オプション)を交換することで、国土交通省が整備する通信インフラ設備「Smart River Spot(SRS)」にも応じられる。

VTOL型ドローン「エアロボウイング」新モデル「AS-VT02K」 VTOL型ドローン「エアロボウイング」新モデル「AS-VT02K」 出典:エアロセンスプレスリリース

 また、機体を2つのケースに分け、コンパクトかつ軽量化もしたことで、収納と運搬が容易になり、工具不要で簡単に組み立てられる。飛行前の動作点検も自動化し、飛行時のフェイルセーフ機能を強化して利便性や安全性能も大幅に向上している。今後は、第二種型式認証の取得を予定しており、レベル3.5飛行の対応を目指す。

 機体サイズは2.1×1.2×0.4メートル(プロペラ含む)、重さは10キロ。積載可能重量は1.6キロ。飛行可能時間は59分で最大飛行距離は70キロ。最高速度は時速100キロ、巡航速度は時速72キロ。

機体ケースを2つに分けコンパクト/軽量化したことで、軽ワゴン車でも運搬が可能に 機体ケースを2つに分けコンパクト/軽量化したことで、軽ワゴン車でも運搬が可能に 出典:エアロセンスプレスリリース

 エアロセンスは長距離広範囲飛行の特性を生かした測量、警備/監視、道路、河川、砂防などのインフラ点検、災害や農業支援といったさまざまな実績を重ね社会実装を進めており、先行発表したペイロード10キロ搭載時に最長120キロ飛行する新型VTOL型ドローン「AS-H1」と今回のAS-VT02Kを合わせて販売することで、国内のみならずグローバルで長距離/広域のドローン点検や物流などの市場のニーズに応えられるとしている。

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