大林組とアイシンは、東京都清瀬市の大林組技術研究所で、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた実証実験を開始したと発表した。大林組が開発した施工/設置方法で、施工性や発電量を検証する。
大林組とアイシンは2025年6月13日、東京都清瀬市の大林組技術研究所で、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた実証実験を開始したと発表した。大林組が開発した施工/設置方法で、施工性や発電量を検証する。
両社は今回、大林組技術研究所の屋上で、ペロブスカイト太陽電池の交換が容易な工法と、発電量を最大化する設置方法の確立を目指す実証実験を開始。施工性や長期保守性、発電性能の評価を進めている。
交換が容易な工法として、ファスナーを使用した取り外し式工法を開発。ペロブスカイト太陽電池付きのシートと建物の屋根/壁面に固定されたメッシュシートを、耐候性の高い特殊なファスナーで連結する方式を採用。大面積でも連結が容易で、部分交換が可能だ。今後は長期設置による耐久性や取り換え工事を通じた施工性の評価も予定している。
また、年間発電量の最大化を目指す設置方法を検証する。ペロブスカイト太陽電池が軽量で柔軟、低照度時の発電効率が高いという特徴を生かし、シミュレーションにより効率的に年間の発電量を最大化させる設置形状を算出。発電効率が最も高くなるとされる南向き30度傾斜設置と比較してより多くの太陽電池を搭載する。個々の太陽電池の発電効率は低下するが、同一設置面積当たりの総発電量は20%以上増加する見込みだという。今後は発電量や経年劣化度を比較評価する。
ペロブスカイト太陽電池は、軽量、柔軟、薄型といった特徴により、従来のシリコン太陽電池では設置が難しい壁面や屋根への応用が可能。国内調達可能なヨウ素を主要材料に用いることで低コストな量産も期待されている。一方で、耐久性や発電効率など技術課題も残されている。
両社は実証で得られた知見をもとに、ビルや工場、インフラ構造物など多様な建設物への展開を視野に、再生可能エネルギーの導入促進とカーボンニュートラル実現に貢献する考えだ。
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