三井住友建設は山岳トンネル工事の発破作業の効率化を目的に、AIを活用した発破パターンの自動選定技術「AI de 先ヤマ(発破編)」を開発した。熟練トンネル特殊工の暗黙知をデータ化してAIに学習させ、地山状況に適した発破パターンを自動で選定する。
三井住友建設は2025年5月26日、山岳トンネル工事の発破作業の効率化を目的に、AIを活用した発破パターンの自動選定技術「AI de 先ヤマ(発破編)」を、ユニアデックスの協力を受けて開発したと発表した。
AI de 先ヤマ(発破編)は、トンネル施工の生産性向上技術「SMC Tunnelingシリーズ」の新技術として位置付けられる。
「先ヤマ」とは、トンネル掘削作業において切羽状況を判断し、作業指示を出す熟練の作業指揮者を指す。新技術はこうした熟練トンネル特殊工の暗黙知をデータ化してAIに学習させ、地山状況に適した発破パターンを自動選定し、提案するシステム。熟練工と同等の発破作業が可能となり、建設業界の担い手不足解消、発破作業の効率化、安全性向上が期待できる。
システムは掘削ごとに取得した削孔、装薬データを基に、次の切羽に適した発破パターン(削孔位置、削孔角度、削孔長、装薬量)をAIが選定。ナビゲーション機能付きのセミオートドリルジャンボが、モニターに表示されたパターンに従って手動で発破孔を削孔する。フルオートドリルジャンボは表示と同時に自動削孔を行う。
新技術の導入により現地条件に合わせた最適な発破作業を実現し、トンネル掘削速度の向上、削孔数/装薬量の減少などが期待される。また、地山の緩みを最小化してトンネルの変形や沈下を抑制し、地山の損傷を最低限に抑えて切羽表面の剥落(肌落ち)を防止することで、安全な発破作業を可能にする。切羽における掘削の過不足も減らせる。
今後は新技術を積極的に現場適用するとともに、削孔/装薬時時のデータ収集を継続し、熟練工を上回る削孔位置や最小装薬量の予測、提案を目指す。AIモデルの精度向上とシステム改良を図り、トンネル工事の生産性向上技術として確立する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.