安藤ハザマとリョーキは、山岳トンネル工事向けの「遠隔操作移動式コンベヤ」を共同開発した。掘削の進捗に応じて建設機械の離隔の変化を補い、既存の技術と組み合わせることで、掘削からずり出しに至る工程を無人化する。
安藤ハザマは2025年3月24日、リョーキと共同で、山岳トンネル工事の掘削からずり出しまでの無人化を目指し、掘削の進捗に応じて建設機械の離隔の変化を補う「遠隔操作移動式コンベヤ」を開発したと発表した。
遠隔操作移動式コンベヤは、トンネル掘削時に発生するずりの搬出を支援する装置。作業員は現場詰所などの遠隔から、タッチパネル式の装置を使用して機械を操作する。安全対策として、周囲確認用カメラや衝突防止用ミリ波レーダーを装備。また、ずり受け入れを容易にする大型ホッパーも搭載した。
安藤ハザマは、ICT(情報通信技術)を活用して工事の生産性を向上する山岳トンネル統合型掘削管理システム「i-NATM(アイナトム)」の開発に取り組んできた。新装置は、技能者の切羽作業を削減する「積込み機能付きAI-ロードヘッダ」や、連続ベルトコンベヤーの延伸作業を効率化する「日々延伸テールピース台車」など既存の技術と組み合わせることで、掘削からずり出しに至る工程を無人化する。
山岳トンネル工事のずり出し手法の1つである連続ベルトコンベヤー工法では、切羽で発生したずりをホイールローダで移動式クラッシャーへ投入して破砕した後、連続ベルトコンベヤーで搬出する。掘削の進捗に伴い連続ベルトコンベヤーは切羽から離れていくが、短時間でベルト延伸作業を行える日々延伸テールピース台車を導入することで、切羽との間隔を近距離に保てるようになった。遠隔操作移動式コンベヤは、1日のうちで変化する搬出距離の調整に対応する装置だ。
安藤ハザマは、三井三池製作所の試験ヤードと、自社施工の山岳トンネル現場で実証試験を行い有効性を検証した。その結果、遠隔操作移動式コンベヤを導入することで、各種建設機械の適切な移動と、ずりのスムーズな受け渡しができることを確認した。
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