建設用3Dプリンタは、CADデータのモデルをコンクリート射出する装置だ。建設用3Dプリンタは、産業用に比べて普及が出遅れている。しかし、市場規模は日本でも少しずつ拡大している。
大岡氏によると、世界に3Dプリンタのメーカーは100ほどという。「日本では、安全性も含め、日本の建設現場の状況や規格、ルールなどに準拠した上でやっているのはPolyuseぐらいと自負している」と自信をみせた
今までの建設業では外資が日本の建設・建築の世界に入ってくることは殆どなかった。建設用3Dプリンタでは海外のメーカーが参入してきている。対してPolyuseは要素技術の蓄積で対応するスタンスを取る。
建設用3Dプリンタでは、コンクリートを射出するハードウェアの他にコンクリートそのものも専用の素材が必要だ。コンクリートを積層して物体を作る建設用3Dプリンタでは、コンクリートにある程度の粘度がないと層が維持できない。しかし、粘度があり過ぎるとポンプが詰まってしまう。流動性と積層性を両立させるには、素材の組成、印刷技術、圧送力、圧力管理、温度/湿度の管理など、多くの知見や経験が必要になる。
そのため、Polyuseは大学やゼネコンを交えて研究開発を行っている。また、国土交通省を含めた産官学の連携で、3Dプリンタ建設の社会実装に向けた取り組みを始めている
大岡氏は、建設用3Dプリンタの導入時のポイントとして、経済性、精度/工期、運用性、品質安全性、施工安全性の5つを挙げる。「海外メーカーの3Dプリンタを検討する場合は、特に品質安全性と施工安全性を確認してほしい」と語る。
大岡氏は「材料や構造は問題ないのか?と問うことが重要。曖昧な回答や納得できない場合は、グレーゾーンの可能性がある」とアドバイス。Polyuseは施工計画書、構造計算の計算図、機械に対しての安全性で、全て数値や計画を提出し、認証でも公的機関の審査を受けているという。
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