日立建機は、使用済みの作動油を再生する技術を開発した。また、再生した作動油を用いた13トンクラスの中型油圧ショベル「ZX135US-5B」1台を、メーカー保証付き中古車として国内販売している。
日立建機は2025年3月12日、サーキュラー・エコノミー(資源循環型経済)の実現に向けた取り組みの一環で、使用済みの作動油を再生する技術を開発したと発表した。また、再生した作動油を用いた13トンクラスの中型油圧ショベル「ZX135US-5B」1台をメーカー保証付き中古車として、同日に発売した。
油圧ショベルを動かす血液のような役割を果たす作動油は、油圧ショベルの長時間の稼働に伴い、異物混入、熱による成分変化、酸化などで劣化するため、定期的に作動油を抜き取り、新しい作動油に交換する必要がある。
日立建機グループはこれまで、作動油の長寿命化をめざし、添加剤の投入などによる研究開発に取り組んできた。
今回、専用装置を使用して不純物や汚染物質を取り除く浄油方法と添加剤の投入を組み合わせた。その結果、作動油を交換することなく、動粘度や酸化の度合いなど日立建機が定める品質基準まで再生する技術を開発した。
新技術では作動油を交換せずに、酸化の度合いや動粘度などを日立建機が定める品質基準まで再生する。添加剤に加え、専用の装置で汚染物質や不純物を取り除く浄油方法としたことで、再生した作動油で油圧ショベルが正常に稼働することを確認している。
使用済み作動油の再生により、原油消費量の大幅な削減が見込める。通常13トンクラスの中型油圧ショベルには、125リットルの作動油が使われる。日立建機によると、作動油を生産するには、その数10〜100倍に相当する原油が必要になるという。13トンクラスの中型油圧ショベルに用いる作動油の生産には、約1万リットルの原油を要する計算となる。
今回、販売する中古のZX135US-5Bは稼働時間3200時間以上だが、新車と同レベルの性能にまで再生させ、さらに再生した作動油を用いて再び中古車として市場に供給する。再生した作動油を中古車に用いて商用化するのは、日立建機にとって今回が初めてで、今後も国内で再生した油圧ショベルに再生作動油を使用する計画だ。
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