IoTの五感と映像の目、「マルチモーダルAI」の頭脳を持つ次世代の現場監視 MODEがキヤノンMJ、セーフィーと提携AI(1/3 ページ)

建設現場の遠隔監視が生成AIへの話し言葉で可能になるMODEの「BizStack Assistant」。現場向け映像カメラサービスに強みがあるキヤノンマーケティングジャパンとセーフィーとの技術提携により、両社のカメラで取得した映像も、異なる種類のデータを扱える“マルチモーダルAI”で、発話での呼び出しや画像解析が可能になる。

» 2025年02月19日 12時26分 公開
[石原忍BUILT]

 米シリコンバレー発のスタートアップMODEは2025年2月12日、画像処理で高い技術を有するキヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)、クラウド録画サービスを展開するセーフィーと業務提携を締結した。

 提携により、キヤノンMJとセーフィーのカメラデバイスで取得した現場監視用などの映像データをオンプレミス/クラウド問わず、MODEのIoTプラットフォーム「BizStack(ビズスタック)」とBizStackをベースにしたAIアシスタント「BizStack Assistant(ビズスタック アシスタント)」で活用できるようになる。3社はそれぞれの技術的な強みを融合し、世界トップクラスのIoT×映像と異なる種類の複数データを扱う“マルチモーダルAI”を活用した次世代の現場監視の実現を目指す。

 また、同日にMODEはキヤノンマーケティングジャパン、セーフィーベンチャーズ、KDDI Open Innovation Fund、KIRIN HEALTH INNOVATION FUNDの4社から、総額約8億円(530万米ドル)の資金を調達した(シリーズB追加ラウンド)。累計調達金額は1405万米ドルで、2014年設立以降の累計調達金額は2976万米ドルとなった。

IoTと映像技術の融合で次世代現場管理を実現

 MODEのBizStackは、多種多様なIoTセンサーで取得するデータを一元管理するプラットフォーム。位置情報に加え、環境情報や設備の稼働状況など、さまざまなセンサーデータを統合し、生成AIで処理することで、現場に行かずとも現場状況をPC上のダッシュボードで把握できる。

 建設業界では既に、西松建設や前田建設工業が導入し、ダム工事の水圧計データの収集、山岳トンネル工事の水中ポンプ稼働監視やAI現場管理システムに活用している。トンネル工事では、これまでトンネル内の水位変化を知るため、一定時間ごとに作業員が現場を巡回し、目視で監視して報告していた。BizStack導入後には、遠隔で人手をかけずに状況を把握し、不具合があっても状況を見ながら適切に対処できるようになった。

「BizStack」 「BizStack」 提供:MODE

 MODEは、2023年には生成AIを採り入れた「BizStack Assistant」の提供を開始。話し言葉(自然言語)によるチャットの問い合わせだけで、映像や計器の数値など過去履歴も含めた現場状況の確認が手軽に実現する。

「BizStack Assistant」 「BizStack Assistant」 提供:MODE

 今回の技術提携で、キヤノンMJとセーフィーのカメラで録画した映像でも、BizStack Assistantに映像閲覧の指示を与えると、それぞれのクラウドに保管されたデータを照会して表示できるようになる。そのため、ITの専門知識がなくても誰でも、現場状況や映像解析で分かる情報が把握可能になる。

 一部キヤノンMJの映像ソリューションには、工場内監視などセキュリティの関係上、キヤノンMJのビデオ管理ソフトウエア「Video Management Software(VMS)」などオンプレミスにデータを保存するソリューションもあるが、BizStack Assistantは既に対応している。

3社の提携概要 3社の提携概要 提供:MODE
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