異なる種類のデータを扱えるマルチモーダルAIは、映像やIoTセンサーで得る位置情報や稼働時間、計器の数値などの解析に応じる。解析用途としては、映像表示や文字によるチャット回答だけでなく、映像をもとにした人/車両の数カウントやしきい値を超えた際のアラート、指定時間の録画指示、過去映像データとの比較などが活用例として想定されている。
MODE CEO 上田学氏は今回の3社協業を「例えるなら、キヤノンMJとセーフィーの持つ映像技術を“目”、MODEが持つIoTは目以外の“五感”といえる。こうしたデータをMODEの生成AIを“頭脳”として融合させることで、従来のIoTデータだけでは見逃しがちな現場の異常や課題を発見できるようになる。さらに労働力不足が深刻な作業現場で、現場管理業務の一層の効率化にも寄与する」とその意義を説明する。
3社提携の背景には、キャノマーケティングジャパン、セーフィーは広く現場でカメラが導入されており、映像を使って現場の課題解決に取り組んでいる点も合致したためだという。
上田氏は、「2025年は現場に必要なデジタルデータへスムーズにアクセスする時代になる。映像データは日常のさまざまな場所に散在しているが、有効活用されておらず死蔵してしまっている。当社にとっては、映像のデータが録画されているけど人間が見なければいけない領域は宝の山。そこを開放し、現場を管理している人にとって、“データは石油”のような価値あるものに変えていきたい」と抱負を口にした。
セーフィーは、LTE搭載の現場監視カメラ「Safie Go」などネットワークカメラ(IPカメラ)を中心に、多種多様なカメラデバイスをクラウドサービスと合わせ展開し、以前からBizStackと連携している。現在は、キヤノンMJとのパートナーシップで、ハード面では27.5万台を超える台数を市場に供給している。
セーフィー 取締役 開発本部本部長 兼 CTO 森本数馬氏は「マルチモーダルAIは従来に比べて圧倒的に高度な画像解析を可能にするため、いち早く取り組んでいるMODEとの連携による可能性を期待している。ただ、残念ながら全ての課題を映像データが解決するわけではない。IoTセンサーデータとも連携すれば、解決できる課題の領域が広がる」と話す。
IoTセンサーデータで見るべきポイントの映像を絞り込む、もしくは時系列でデータを分析すれば、従来の画像解析技術では検知できなかったことも把握可能になる。具体的には、IoTセンサーが異常を起こしていれば、カメラで現場を確認し、問題があった場合は対応中、迅速にデバイスで情報を共有してレポートを生成するなどの使い方も見込める。
セーフィー自身でも、経済産業省が2024年に開始した生成AIの開発力強化に向けたプロジェクト「GENIAC(ジーニアック)」の第2期事業で、2025年中にAIプラットフォームの構築に着手している。「AIプラットフォームは、当社カメラで録画したデータを活用したAIアプリケーションを容易に開発できる仕組みとなる」(森本氏)。
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