東洋建設は、実写VR空間で杭の位置誘導ができるシステム「Pile T-Real」を開発した。既存の打設杭トータル施工管理システム「Pile T」のVR空間に360度カメラで撮影した現場のリアルタイム映像を背景として合成することで、実際の視覚に近い感覚で杭の誘導が行える。
東洋建設は2025年1月21日、打設杭トータル施工管理システム「Pile-T」を進化させ、実写VR空間で杭の位置誘導ができる「Pile T-Real(パイルティ−リアル)」を開発したと発表した。実写VRとVR、3Dモデルを組み合わせることで、施工時の安全性と作業効率の向上を図る。
既存のPile-Tは、杭打設時の位置誘導から支持層への打止め確認まで、施工管理を合理化するシステム。3台の自動追尾式トータルステーションの計測データを基に、杭の打設状況や既設構造物、地層分布などをVR空間でリアルタイムに確認できる。オペレーターは360度任意の視点から杭の位置や高さ、傾斜などを確認しながら、実際の杭を所定位置に誘導する。
新開発のPile T-Realは、現行版Pile TのVR空間に、360度カメラで撮影した現場のリアルタイム映像を背景として合成。現場映像と3Dモデルを重ねて表示することで、実際の視覚に近い感覚で杭の誘導が行えるようになった。従来の3Dモデルでは表現が困難だった作業員の動きや、作業の進捗に応じて移設が必要な杭の定規材なども、実写VR空間でリアルタイムに把握できる。
また、杭の打設途中でも実写VRと従来型VRの切替えが可能で、水中や地中など目視できない部分の3Dモデルによる可視化、作業員の退避状況や打設中の杭と定規材との接触の有無などを確認しながら杭の誘導が行える。
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