東洋建設とエア・ウォーターは、軟弱地盤を改良する深層混合処理工法(CDM工法)で使用するセメントスラリーにドライアイスを混入し、実地盤にCO2を固定化する実証実験を行った。
東洋建設とエア・ウォーターは2023年3月29日、軟弱地盤改良工法である深層混合処理工(CDM工法)で使用するセメントスラリーにドライアイスを混入し、実地盤にCO2を固定化する実証実験を行ったと発表した。
両社は、エア・ウォーターの小型CO2回収装置「ReCO2 STATION(レコ ステーション)」を使用して、海底の地盤改良を行う「深層混合処理船」の排気ガスから回収したCO2を、海底地盤内に固定化する技術の開発を目指している。
ReCO2 STATIONは、一般的な工場のボイラや工業炉などの燃焼排ガスから低濃度CO2を回収し、カーボンリサイクルの観点で回収したCO2を原料に液化炭酸ガスやドライアイスを製造できる。このため、両社はドライアイスをCDM工法で使用するセメントスラリーに混入し、CO2を海底地盤内に固定化する技術の開発を進めている。これまで、室内配合試験やモデル試験により、セメントスラリーへのドライアイス混入方法の検討、CO2固定量の確認を行ってきた。
今回の実証実験は2024年2〜3月にかけて、兵庫県西宮市の東洋建設所有地で、陸上用深層混合処理装置の実機を使用し、実地盤で実施した。ミキシングプラントでセメントスラリーを練り混ぜる際に、ドライアイスを混入してCO2を溶解させ、地盤に吐出、撹拌(かくはん)混合を行った。施工後に改良体を分析した結果、CO2が改良体に固定化されていることを確認した。
東洋建設とエア・ウォーターは2024年度に、自社作業船へ小型CO2回収装置を搭載する予定だ。今後、深層混合処理船の排出ガスから回収したCO2を、セメントスラリーや地盤へさまざまな形態で供給し、固定量を増加させる手法を開発する。加えて、長期的なCO2固定量の変動などを把握し、CO2固定量を最大化させる技術や固定量を適切に評価する技術の開発も進める考えだ。
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