大和ハウス工業は、1976年4月に竣工した大阪府大阪市の円筒形超高層ビル「大阪マルビル」の建て替え工事を本格始動した。
大和ハウス工業は2024年11月19日、「(仮称)大阪マルビル建替プロジェクト」を本格始動すると発表した。高さ約192メートル、地下4階/地上40階の複合施設として、ホテルやオフィス、コンサートホール、商業施設などを整備する。開業は2030年の見込み。設計は日建設計/フジタ設計JVが担当、施工はフジタを予定している。
大阪マルビルは1976年4月に竣工。建物/設備の老朽化や周辺施設との競争力低下が課題となっていたことから、2022年5月に建て替えを決定し、2024年9月には地上部分の解体が完工した。
新たなビルのデザインコンセプトは「都市再生のシンボルツリー」。建物の構成を単一の「マル」ではなく、多重に積層する「マル」で表現する。
外観は、ガラスカーテンウォールで構成された大樹のような円筒形状とし、外装には大樹の枝葉をイメージした緑化ルーバーを計画する。
また、LEDディスプレイの投影映像に没入できる球体のデジタルアトリウムを設置。地下2階から地上4階までの巨大な球体を施設内に形成する計画だ。さらに、大阪マルビルの「回る電光掲示板」を継承するため、建物頭頂部に大阪駅周辺からも視認できるデザインを施すことも検討する。
建て替え後のビルには、ラグジュアリー型や都市型などの2つのホテルを誘致し、総客室数は約280室となる見込みだ。オフィスには、多種多様な人や情報が集まるワークスペースを設置。入居するスタートアップ企業向けの支援プログラムやコミュニティを提供するなど、世界トップクラスのイノベーション拠点化を進める。
コンサートホールや舞台は、舞台/客席の規模を変更できる設備を採用し、メインとなるクラシックコンサートをはじめ、多目的な芸術体験ができる空間設計とする。商業施設は旧大阪マルビルの雰囲気を継承しながら、施設の用途と親和性のある店舗を誘致する予定だ。
プロジェクトは敷地内だけでなく、地域の魅力や活力を向上させるための整備も行う。ピロティとして開放し、連続する周辺地域の歩行環境改善や修景などを検討する。地下では、四つ橋線「西梅田駅」に接続する地下通路を新設し、改札口も設ける予定。
さらに、建物の遮断熱性能を向上し、自然エネルギーや省エネ技術を採用することで、ZEB認証の取得を目指す。併せて、CO2固定化や森林資源循環などへの貢献を目的に、内外装に木材の採用を計画している。BCP対策では、非常用発電機やコージェネレーションシステム、雑用水利用などによる電力や水のバックアップも実施する。
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