建物計画の初期段階でCO2削減効果とコスト増減率を比較、大林組が新システム開発：脱炭素

大林組は、建物計画の初期段階で、建築／設備仕様によるCO2排出量削減効果とコストの増減率を比較検証し、顧客の方針決定を支援する新システム「カーボンデザイナー E-CO BUILDER」を開発した。

[BUILT]

　大林組は2024年11月14日、建物計画の初期段階で建築／設備仕様によるCO2排出量削減効果とコストの増減率を比較検証できるシステム「カーボンデザイナー E-CO BUILDER（エコビルダー）」を開発したと発表した。

　新システムは、大林組のCO2排出量予測システム「カーボンデザイナー」と、建築物省エネ化設計ツール「ZEB Ready簡易評価システム」をそれぞれ発展させて連携。建築物運用時のCO2排出量削減効果にフォーカスし、営業担当者から設計者まで包括的に利用できるシステムを構築した。現在はオフィスビルのみが対象だが、今後は建物用途を拡大していく。

「カーボンデザイナー E-CO BUILDER」のシミュレーション結果画面　出典：大林組プレスリリース

建設時や運用時のCO2排出量削減効果などを瞬時に算定

　2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、建物の建設時だけでなく、運用時のCO2排出量削減が重要な課題となっている。しかし、建築物の詳細な仕様が決まっていない段階でCO2削減に関する投資効果を把握するのは難しく、計画初期段階の意思決定は困難だった。

　新システムは、計画地を地図上で指定し、仕様設定などを変更すると、建設時と建築物運用時のCO2排出量の削減効果、建設時のコスト、運用時の年間コスト、BEI値などのシミュレーション結果が瞬時に表示される。複数のパターンで検討できるため、各企業の事業計画に基づいた迅速な方針決定を支援する。

　具体的には、まず、対象建物の建築物の幅／奥行き／階数を指定して、延べ床面積やZEB認定における基準ビルの数値などを算定する。その後、メインファサード方向やガラス種別、庇（ひさし）の有無、躯体の仕様などの建築仕様や、空調仕様、換気、照明、給湯、太陽光発電などの設備仕様を設定。基準ビルに対しての省エネ効果やCO2排出量の削減効果と、コストの変動が算出できる。大林組が開発した低炭素型コンクリート「クリーンクリート」やハイブリッド木造などの低炭素型資材などにも対応している。

「カーボンデザイナー E-CO BUILDER」の計画情報入力画面　出典：大林組プレスリリース

建築仕様入力画面　出典：大林組プレスリリース

設備仕様入力画面　出典：大林組プレスリリース