BIMソフトウェアRevitの大手ゼネコン5社によるユーザー会「BIM Summit」内の構造分科会は、BIMの構造設計で使う「免震装置」のファミリ(BIMの部品)の仕様を共通化した。データ整備には免震装置メーカーのブリヂストンとオイレス工業も参加し、親と子の“入れ子”の構成で、装置選定の設計検討が型番の入れ替えだけで可能になる。
オートデスクは2024年8月28日、東京都港区虎ノ門の本社で、BIMソフトウェア「Autodesk Revit」用にユーザー会のBIM Summit構造分科会が仕様を共通化した「免震装置」のファミリに関する説明会を開催した。
BIM Summitは大林組、清水建設、鹿島建設、大成建設、竹中工務店の5社が、Revitによる設計・施工の効率的な業務プロセス改善を目的に2016年に発足したユーザー組織。その傘下の構造分科会は、2017年から構造設計用のRevitファミリ(BIMモデルのパーツ)の共通化を目指し、これまでに鉄骨系、RC系、SRC系の柱や梁(はり)、基礎、杭、壁、床などのルールを整備してオートデスクのWebサイトで一般公開してきた。前回の第6回は、CLTなどの木造化で活用が広がる木造系の製材や集成材、LVLの柱と梁のファミリ、床と壁のパラメータを公表した。
第7弾となる今回は、免震設計でニーズの高い「天然ゴム系積層ゴム」「鉛プラグ入り積層ゴム」「高減衰積層ゴム」を対象に、免震装置メーカーのオイレス工業とブリヂストンの協力を得て、各社バラバラとなっているBIMモデルの仕様を統一した。
従来ファミリは、各社独自のRevit環境かつ統一されていないパラメータで作成していたため、ファミリを扱えるリソースが社内や特定の人のみに固定化され、製造や施工との連携が煩雑となっていた。
具体的には、A社では柱のファミリを「幅」と「高さ」、B社では「B」と「D」の英字で定義するなど、同じ意味のパラメータにもかかわらず名称が異なっていると、幅=B、高さ=Dのように紐(ひも)付けるマッピングが必要だった。特に構造設計から、その先のファブリケーターや製造工場とのデータ連携では、ゼネコン別にバラバラの仕様でデータが送られてくるので対応に苦慮することが多かった。
ファミリの共通化により、設計〜製造、さらに施工へもデータをスムーズに引き渡せるようになる。データ流通の円滑化だけでなく、開発リソースが社外にも広がり、業界内でのデータ利活用の促進にもつながる。
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