川田工業は、川田テクノロジーズ、常盤電機と共同で、自社富山工場に「ロボット自動塗装」実験棟を新設した。合成床版「SCデッキ」などの鋼構造製品を対象に塗装テストを行い、環境温度や湿度の変化に左右されず、年間を通じて高い塗装品質を得るためのノウハウを確立する。
川田工業は2024年9月18日、グループ会社の川田テクノロジーズ、常盤電機と共同で、自社富山工場で製作する鋼構造製品の塗装効率/品質向上を目的に、ロボット自動塗装ラインと実験棟を新設したと発表した。
自社の鋼/コンクリート合成床版「SCデッキ」などの鋼構造製品を対象に塗装テストを行い、環境温度や湿度の変化に左右されず、年間を通じて高い塗装品質を得るためのノウハウを確立する。2025年度中にも、塗装作業へのロボット活用を本格化する計画だ。
富山工場ではSCデッキの吹付け塗装を熟練の職人が担っている。今後、SCデッキの増産を目指すにあたり、塗装工程のインテリジェントな自動化を計画しており、今回の取り組みはこの一環。
実験棟では、ロボット自動塗装ラインで熟練工と同等の塗装品質を得るための各種テストを行う他、温度や湿度に応じてロボットの塗装条件を自動で最適化するなど、高い塗装品質と生産効率の向上を両立させるための技術の確立を目指す。
今回導入するロボット自動塗装ラインは、鋼構造製品を自動塗装する自走式「自動塗装ロボット」と、鋼構造製品を所定の位置に自動で搬入出する「自動搬送装置」で構成される。
自動塗装ロボットは、自走台座に搭載した防爆型汎用6軸塗装ロボットが左右約12メートル範囲で可動。台座自体も前後約36メートルの範囲で自走できる。将来は、SCデッキを最大12枚並べ、約300平方メートルを約2時間で塗装する計画だ。
自動搬送装置は、重量1枚当たり2トンのSCデッキを、4枚1セットで一括して実験棟内へ搬入する。クレーンを使い製品1枚ずつ架台上に並べていた従来の方法に比べて、作業効率と安全性が向上する。
また、自動搬送装置は、今後開発する「生産管理システム」と連動させ、遠隔地から塗装工程の進捗管理を行えるようにする。さらに現在、塗膜厚の「自動検査ロボット」の開発も進めており、塗装に対し高精度な膜厚検査を効率化し、検査後の統計的品質管理も自動化することで膜厚を均一化して塗装品質の一層の向上につなげるとしている。
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