8月の主な倒産は、広島県の船舶製造/修繕業「クレサービス」(負債総額109億6100万円)をはじめ、滋賀県の一般個人向け住宅などを手掛ける建築業「みやび建設」(同54億3500万円)、鹿児島県のブリ/ハマチ養殖業「森山水産」(同39億4000万円)、東京都のビルメンメンテナンスを主業にミネラルウオーターの卸しや飲食店コンサルも展開していた「グローバルステージ」(同29億円)、愛媛県の水産物養殖業「極洋フィードワンマリン」(同24億6500万円)などがあった。
TSRの調査によると、みやび建設はコロナ禍での営業活動の停滞と請負代金のトラブルなどで資金繰りが悪化し、8月9日に破産開始決定を受けている。
また、グローバルステージは、他社のビルメンテナンス事業を継承した他、全国に支店を開設し、官公庁案件も獲得するなど事業を拡大していた。しかし、入札案件の一部で赤字となり、採用難が続き賃金上昇によるコスト増大などもあったため、資金繰りが追い付かず、資金調達も難航し、7月20日の事業停止に至った。
小企業や零細企業の負債1000万円未満の倒産をみると、2024年8月は44件(前年同月比18.9%増)で、2024年に入り2月と3月以外の6カ月で前年同月よりも増えた。負債1000万円以上の倒産が29カ月ぶりに減少した一方で、コロナ関連の支援策が6月末で縮小/終了したことも影響し、1000万円未満は4月から5カ月連続で前年同月を上回り、小/零細企業の苦境が浮き彫りとなった。
産業別は、最多が「飲食業」5件を含む「サービス業他」の19件(前年同月比±0.0%)。以下、「小売業」8件(同14.2%増)、「建設業」7件(同75.0%増)の順。原因別は、販売不振が31件(同47.6%増)で7割(構成比70.4%)を占めた。形態別は破産が43件(前年同月比19.4%増)で、ほとんどが消滅型の倒産だった。
TSRでは、「負債1000万円未満の倒産は小/零細企業が大半で、金融支援に依存した経営を続けてきたことが要因。政府は2024年6月、コロナ前の水準に戻して、経営改善や再生支援に重点を置く支援を打ち出し、コロナ借換保証などの支援は終了した。9月のドル円レートは円高で推移しているが、物価高は是正されず、人件費の上昇や人手不足が企業活動の足かせになっている。今後、金融機関の貸出金利が引き上げられるだけに、収益力が脆弱で独自の事業再生への取り組みが難しい小/零細企業には、金融機関などの支援が欠かせない」と指摘する。
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