東京商工リサーチは、2024年1〜4月の「人手不足」に関連する倒産件数は、前年同期比で2倍以上となり、調査開始依頼最高値となったと発表した。特に「2024年問題」の影響を受ける建設業では同3.5倍となっている。
東京商工リサーチは2024年5月9日、2024年1〜4月の「人手不足」に関連する倒産件数について、前年同期の2倍以上となる90件となり、調査を開始した2013年以降で最高となったと発表した。特に「2024年問題」の影響を受ける建設業では3.5倍、運輸業は1.9倍と増加率が高くなっている。
人手不足に関する内訳は最多が「求人難」の38件、次いで「人件費高騰」が27件、「従業員退職」が25件と続いている。特に「求人難」が前年同期比2.5倍、「従業員退職」が同2.2倍となっており、人材確保の苦戦が事業継続に大きな影響を与えていることが分かる。また、資本金別では「1千万円未満」が58件(構成比64.4%)となり、小/零細規模が半数以上を占めた。
産業別では、区分している10の産業の中で「卸売業」「金融・保険業」「情報通信業」を除く7産業で前年同期を上回った。最多となったのは「サービス業他」で27件となった。また、2024年4月から残業時間の上限が規制された「建設業」と「運輸業」では増加率が特に高くなっており、「建設業」は21件で同3.5倍、「運輸業」も21件で同1.9倍となっており、影響が出ていることがうかがえる。
形態別では、「破産」が最多で76件、「特別清算」が3件となり、事業を残さない「消滅型」が8割以上を占める形となった。「再建型」の「民事再生法」は10件で、残り1件は「取引停止処分」による「私的倒産」となった。東京商工リサーチによると、これからも「人手不足」に関する倒産は増える見込みを示しており「これからが本番を迎える可能性が高い」とコメントしている。
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