今回のプロジェクト中には、予期しないコロナ禍というアクシデントに見舞われた。しかし、逆にメリットとして、ニューノーマルを見据えたオフィス機能を投入する契機にもなった。新たなオフィス機能で特徴的なのは、入館からオフィスフロアの自席に至るまで、エレベーターを含めてタッチレスが実現されていることだ。
他にも、社会課題のSDGsへの対応で、紙を生まないペーパーレスの働き方改革や什器のアップサイクル、リサイクル素材の活用などにも取り組んでいる。紙の削減では、プリンタ(複合機)の台数を従来比で40%削減(21台減)し、1人あたりのfm(ファイルメーター)も移転前の2.5fmから0.9fmに減らした。紙文化から脱したとともに機器も無くなったため、オフィススペースのコンパクト化にもつながった。
また、入館ゲートからの入館人数データを計測し、食堂の利用数を予測してフードロス削減に役立てるデータドリブンのFMも実践し、年間約3.2トンの食品廃棄を減らしたという。
NTT西日本では、本社の移転に合わせ、NTT WEST i-CAMPUS内に新たにFMセンターを構築した。今回の本社移転を一過性のプロジェクトとするのではなく、今後のオフィスFMサイクル(PDCA)を回し、働き方をアップデートする端緒とするためだ。講演の最後には、FM推進体制の概要として、FM推進主管組織で中心となる「経営企画部 CRE推進室」の社内外との関係性を示し、今回のプロジェクトで実践したFM戦略をアップデートしながら継続していくことを明かした。
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