測量や調査、設計などで現実空間を3Dデータ化するデジタルツインの動きが加速している。点群データ取得を効率化できるツール開発が進み、手軽に扱える環境が整いつつあるからだ。こうした動きはファシリティマネジメント(FM)分野にも波及してきている。
日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)が開催した「ファシリティマネジメント フォーラム2024(第18回 日本ファシリティマネジメント大会)」で、JFMAの研究部会の1つ「コンピュータ活用研究部会」の活動報告として、構造計画研究所の吉岡康浩氏が登壇し、維持管理分野での点群データの活用方法を解説した。
3Dモデルを活用し、街づくりや測量、設計といった分野で業務プロセスを改善する動きが活発化している。従来の2次元図面などに基づき、計画を立案する方法では、図面を読み解く専門的な知識が求められ、関係者間でのやりとりでも齟齬が生じたりした。特に入り組んだ形状を持つ建造物や多くの部品で構成された設備は、平面の図面から判読することは専門家でも難しく、情報共有にも時間を要していた。
近年、業務で用いられつつある3Dモデルは、こうした課題に対し、データを視覚的に表示し、複雑な形状であっても関係者間の説明が容易になる。さらに、3Dの点群データは位置情報を含む数値で記録されるため、寸法や面積など細やかなデータを瞬時に算出もできる点でも使われる機会が広がっている。
急速に広まりつつある3Dデータ活用は測量を効率化するため、さまざまな種類の3Dスキャナーが増え、身近な道具となってきている。
最も定番の機器は「TLS(地上型レーザースキャナー)」だ。離れた場所から赤外線レーザーを物体に照射し、はね返ってくるレーザーから3D座標をデータとして記録し、短時間で大量に面的な3D座標を取得することに大きな利点がある。
計測手順は、事前に障害物の有無などを確認し、計測する地点や必要な回数を割り出して、全ての場所にレーダーを照射してデータを取得するのが一連の流れだ。手法自体は主に3種類あり、建物の形状や時間の有無などから最適な方法を選択することになる。近年は広範囲のデータを計測できるように改良が進み、土木分野で土地形状の把握などに効果を発揮している。
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