国土交通省は、2023年度の民間工事の工期設定に関する調査結果を公表した。工期の設定方法について、「協議を通して要望が受け入れられた」と回答した企業が前年度から10ポイント増加した。
国土交通省は2024年8月6日、2023年度の民間工事の工期設定に関する調査結果を公表した。工期の設定方法について、建設業者の約6割が「発注者との協議を通して、要望が受け入れられた(受け入れられることが多い29.9%、受け入れられることは少なくない33.4%)」と回答し、前年度から約10ポイント増加した。
一方、「受け入れられない(協議依頼に応じてもらえないことが多い6.6%、協議を行うが要望は受け入れられないことが多い11.0%)」とする企業は17.6%で、前年度から約10ポイント減少している。
工期不足への対応では、「休日出勤」が58.5%(前年度比1ポイント減)、「作業員の増員」が57.8%(同2.4ポイント減)、「早出/残業」が40.2%(同6.9ポイント減)と上位を占めた。一方で、「工程の合理化」は34.4%(同6.8ポイント増)、「工法変更」が22.4%(同4.0ポイント増)など作業効率化により対応するケースが増加傾向にあることも分かった。
「4週8休」を取得している割合は、技術者で21.2%(前年度比9.5ポイント増)、技能者で25.8%(同14.8ポイント増)と改善傾向にあることが分かった。一方、最多の回答は「4週6休程度」で、技術者で43.4%(同1.2ポイント増)、技能者で39.0%(同5.7ポイント増)だった。
建設業者が妥当だと思う現場閉所率は「4週8閉所」が55.8%と半数以上を占めたが、実際の現場閉所率は「4週6閉所」が34.1%で最多。「4週8休」の導入率は20.6%だったが、公共工事を主とする企業では37.6%、民間工事を主とする企業では14.9%と大きな開きがあった。
月平均の残業時間が45時間を超えたのは、技術者で14.9%、技能者は9.0%。調査時点では猶予期間だった残業時間の上限規制に対し、超過する技術者がいると回答した企業は17.2%、超過する技能者がいると答えた企業は4.7%となった。
また、物価などの高騰で工事に影響が出た場合、発注者に対し「協議は依頼しない」「協議依頼しても応じてもらえない」と回答した企業は4割以上を占めた。協議できたとしても「全て契約変更が行われた」のは全体の約2割にとどまった。
調査では、主に民間工事について、工期設定の際の受発注者間の協議の有無、工期の適正性や変更の理由、休日の取得状況などについて質問した。建設企業1302社、発注者102社から回答を得た。
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