店舗や工場といった中大型施設の建設現場では、清掃作業が広範囲にわたるだけでなく、床の素材やごみの種類などに合わせて、作業員が業務用掃除機や手押しスイーパーなどを用いて、清掃作業を行っている。こういった業務は、長時間労働の一因にもなっているため、スリム化が業界で望まれている。そこで、大和ハウス工業、大和リース、フジタの3社は、建設現場向けの自走掃除ロボットを共同開発した。
大和ハウス工業、大和リース、フジタの3社は、建設現場向けの自走掃除ロボットを共同開発したことを2022年7月29日に発表した。
建設業では、作業員の高齢化や入職者の減少による人手不足などが深刻になっている。こういった状況を踏まえて、国土交通省では、就労環境改善のために作業員の4週8休を推進中だ。しかし、2024年度に開始する時間外労働の上限規制への対応も求められており、雇用を確保するための労働時間削減が必要となっている。
とくに散乱すると危険なクギなどの掃除業務は、作業員にとって負担となっており、長時間労働の一因にもなっているため、スリム化が業界で望まれている。
そこで、大和ハウス工業、大和リース、フジタは、自走掃除ロボットの開発プロジェクトを2021年4月に立ち上げ、開発パートナーのKYOSO テクノロジと連携して、建設現場向けの自走掃除ロボットを開発した。
建設現場向けの自走掃除ロボットは、作業員が運べるように、メインユニット・バッテリー、清掃部・タンク部、左の駆動ユニット、右の駆動ユニットに分けられる構造となっており、エレベーターがない多層の建設現場でも使える。
特徴は、作業員による床の清掃作業で必要な毎月40時間の業務を自動化する点。具体的には、約15ミリの砂利や50グラムの小ねじとクギなど、現場に散乱するさまざまなものを清掃できる他、連続4時間の稼働に対応し、一度に最大15リットル分のごみを回収する。
移動速度は毎秒0.5メートル で、1日(8時間)当たり約3000平方メートルを清掃可能。これにより、作業の隙間に行っていた清掃をロボットが自動(無人)で行え、作業員が施工作業に集中しやすく、生産性を高められ、衛生的な職場環境も保てる。
開発に当たっては、大和ハウス工業、大和リース、フジタの建設実績やロボット化・自動化技術に基づく知見を集結した。また、開発パートナーのKYOSO テクノロジは、京都府に点在する中小企業の技術力を結集し地方創生を図る「京都試作ネット」に参画する企業で、同社の持つさまざまなロボット開発のノウハウやものづくりのネットワークを活用し、企画、設計、試作、検証、評価に取り組んだ。
今後は、施設や部材に応じた実証実験を行うことでロボットの改良を重ね、2023年度に大和ハウス工業、大和リース、フジタが扱う全国の建設現場に順次導入する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.