日揮ホールディングスの海外EPC事業会社となる日揮グローバルは、サウジアラビアで遂行中の原油/ガス分離設備建設プロジェクトで、建屋外壁の造形に3Dプリンタ技術を導入すると決めた。
日揮ホールディングスは2024年6月6日、同社の海外EPC事業会社である日揮グローバルが、サウジアラビアで遂行中の原油/ガス分離設備建設プロジェクトにおいて、実証を進めてきた3Dプリンタを活用した技術を導入することを発表した。
日揮グローバルは2021年10月から国内EPC事業会社である日揮が宮城県石巻市で遂行中のバイオマス専焼発電設備の建設工事現場に、デンマークのCOBOD International(COBOD)のガントリー型コンクリート系建設用3Dプリンタを設置し、プラントの配管支持構造物(基礎型枠)への3Dプリンタの適用に向けた実証に取り組んできた。
こうした取り組みが注目されたことから、今回サウジアラビア国営石油会社(サウジアラムコ)と協議し、日揮グローバルがサウジアラビアで現在遂行中の原油/ガス分離設備建設プロジェクトで、化学品保管庫の建屋の外壁(約340平方メートル)を3Dプリンタで造形することが決まった。
従来のプロジェクトでは、オンサイトプレキャストで製造した型枠から造形していたが、今回はオンサイトプリントによる壁面の造形というステップアップを行う他、海外でのプリント作業遂行の新たなスキーム確立を視野に入れ、COBODの大型造形に適した3Dプリンタを保有しているサウジアラビア現地企業や現地施工会社と協力を進める。2024年夏ごろから造形作業を開始する計画だ。
世界最大の総合エネルギー/化学企業であるサウジアラムコは、全ての事業および建設中のプロジェクトにおいて、持続可能な活動を推進することを目標としている。その一環として、型枠が不要で廃棄物やエネルギー使用量を削減し、環境負荷を低減することに加え、建設生産性の向上が期待できるため、3Dプリンタの導入を広げることを検討している。
一方、日揮グローバルは、グループ内のプラント建設プロジェクトへの技術導入を積極的に推進し、建設工事の効率化、さらには建設技能者の人材不足という社会課題解決策の一つとして3Dプリンタの建設工事への実装を目指して導入事例の拡大を目指している。
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