戸田建設は、山岳トンネルの覆工コンクリート打設作業の効率化、省人化を実現する自動打設ロボット「セントルフューチャーズ」を開発した。従来の締固めが必要な覆工コンクリートについて、初めて、打設作業の自動化を実現した。
戸田建設は2024年5月21日、大栄工機、ムネカタインダストリアルマシナリー、JUST.WILLと共同で、山岳トンネルの覆工コンクリート打設作業の効率化、省人化を実現する自動打設ロボット「セントルフューチャーズ」を開発したと発表した。
セントルフューチャーズは、コンクリート打設口の自動開閉機能を持つスライド型配管切替装置「スイッチャーズ」に、各種センサーや締固め機械などを連動させることで、従来の締固めが必要な覆工コンクリートの打設作業を初めて自動化した。
戸田建設は2023年11月から、中国地方整備局発注の「令和3年度木与防災木与第1トンネル工事」にセントルフューチャーズを導入している。打設開始初期の覆工スパンでは、機能の一部分だけを使用して打設していたが、2024年2月13日からは全機能を活用した覆工コンクリートの自動打設を開始。自動化により従来6人程度を要していた打設作業が、4人で行えるようになった。
覆工コンクリートの締固め作業をなくすためには、自己充填性を持つ高流動コンクリートなどを使用する方法も想定されるが、自動打設の設備費用と併せると高額になる。このため、戸田建設では、一般的な配合のコンクリートを使用した覆工コンクリートの自動打設に取り組んできた。
新技術は、覆工コンクリートで一般的に使用するスランプ15センチメートル程度のコンクリートに対して適用可能だ。スイッチャーズと各種センサー/バイブレーターを組み合わせてセントル(覆工コンクリート打設用の移動式鋼製型枠)に配置し、覆工コンクリートの側壁部から天端部までを自動で打設する。これまで人手で行っていた打設ホースの移動や打設口の開閉、コンクリートの締固めなどの作業が不要になる。
戸田建設は今後も現場での適用を継続しながら、打設作業の人員を従来の3分の1に相当する2人程度に省人化することを目指し、改良を加えていく。さらに、各種センサーで取得したデータの活用の幅を広げるなど、覆工コンクリート打設作業の自動化を推進していくことで、覆工自律型打設ロボットの開発を目指す。
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