鹿島建設は、最大7工場分の生コン工場で発生した戻りコンから、再生セメント「Cem R3」を製造する体制を構築した。
鹿島建設は、神奈川県内の複数のレディーミクストコンクリート工場で発生した戻りコンから、洗浄排水から骨材を取り除いて回収したスラッジ再生セメント「Cem R3(セムアールスリー)」を製造する体制を構築したと2023年12月6日に発表した。
さらに、Cem R3を用いた環境配慮型コンクリート「エコクリートR3(アールスリー)」を神奈川県横浜市内で建設を進めている共同住宅の柱や梁(はり)、床に採用した。住宅用途建物への採用は初めてとなる。
エコクリートR3は、製造工程で大量のCO2を発生するセメントの代わりに、戻りコンから骨材を取り除いた後、脱水や粉砕をして製造するスラッジ再生セメントのCem R3を、原材料として利用する。
これまで、Cem R3は、三和石産の藤沢工場で発生する戻りコンのみを製造していた。今回、神奈川県川崎市臨海部に保有する工場にCem R3の新たな製造拠点を立ち上げ、複数の生コン工場で発生した戻りコンを収集して、Cem R3を製造する体制を構築した。
新体制では、周辺の生コン工場で発生する最大7工場分程度の戻りコンの処理に対応できるため、「Cem R3」の製造能力が従来の約7倍程度に向上する。戻りコンの処理量は月産約1500立方メートル、Cem R3製造量は月産約500トンを見込む。
また、戻りコンの受入条件の設定、製造時の品質管理により品質を確保することで、エコクリートR3は日本建築総合試験所の技術性能証明(GBRC材料証明 第16-10号 改3)、各生コン工場では生コンJIS認証を取得した。
Cem R3を原料とするエコクリートR3は、鹿島建設が横浜市内で建設中の神奈川県住宅供給発注の13階建て共同住宅に初採用した。エコクリートR3は、Cem R3の含有量を調整することで、幅広い用途に採用できる。今回は、住宅用途に合わせるべく、法律で規定された基準に従い、Cem R3の含有量を10%とした。建物の柱、梁、床に採用した結果、施工性も良く、強度も十分なことが確認されている。
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