新たな芽をいつか森に、清水建設がイノベーション拠点でゼネコンの枠を超えて目指す姿温故創新の森「NOVARE」探訪(前編)(4/5 ページ)

» 2024年05月27日 07時00分 公開
[三島一孝BUILT]

巨大な実験空間を持つNOVARE Lab

 技術研究所 潮見ラボとしての役割を担うNOVARE Labは、大型構造実験、建設ロボット実験、材料実験などが行える大規模な実証スペースを持つ研究開発施設だ。オフィスと実験空間が用意されており、「細かく壁で仕切られていないためにお互いの研究内容を見たり、交流したりすることで、新たな発想が生まれることも期待している」と鳥越氏は述べている。

 実験エリアは主に、ロボティクス研究エリアと構造研究エリアとして使用されている。ロボット研究エリアでは、自動搬送ロボットや作業ロボット、溶接ロボットの研究開発や実験が行われている。また、3Dプリンタの材料/施工実験なども行われている。これらに加えて材料研究エリアがあり、さまざまな建設資材の材料研究が行われている。

NOVARE Labの概要 NOVARE Labの概要 出典:清水建設資料

清水建設の歴史を振り返るNOVARE Archivesと旧渋沢邸

 その他、NOVAREでは清水建設歴史資料館として、社宝や貴重資料展示などを行うNOVARE Archivesと歴史建造物である旧渋沢邸を展示施設として用意している。

 NOVARE Archivesは現在、一般公開の準備中だが、清水建設が長い歴史の中で保有してきたさまざまな美術品や貴重な資料、清水建設の歴史などを展示する予定だという。

 一方、旧渋沢邸は、清水建設の2代目清水喜助氏が手掛けたもので現存する唯一の建築物で、和洋折衷が明治以来の日本住宅近代化の基本的な流れを示した貴重な遺構だとされている。1877年に清水喜助氏が設計、施工して以降、何度も移築を繰り返す中、2018年に清水建設が遺構を譲り受け、2023年にNOVAREに移設された。

旧渋沢邸の外観 旧渋沢邸の外観

 移築に際して、建築資材の中には老朽化が進んでいるものの今では手に入らないものなども数多く存在し、それらを再現するためにはさまざまな先進技術を活用したという。手彫りを質感を再現するためにAIで3Dスキャンした模様を学習し、質感を新たにデータで生成。それをデジタルファブリケーションし、アルミキャストで再現するなど、さまざまな工夫を行ったという。

旧渋沢邸の再現にAIやデジタルファブリケーションを活用 旧渋沢邸の再現にAIやデジタルファブリケーションを活用 出典:清水建設資料

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