DNPは、「江戸東京たてもの園」に移築した歴史的建造物の鑑賞価値を高めるWebアプリケーションを公開した。WebアプリはWeb特設サイト上で展開し、AR技術やGPS機能を用い、園内の建築物をより深く、楽しく、快適に体験できることをコンセプトにしている。
大日本印刷(DNP)は、東京都小金井市にある建物の博物館「江戸東京たてもの園」内の復元建造物への理解を深めるWebアプリケーション「江戸東京たてもの園鑑賞ナビ(略称:たてもの園ナビ)」の提供を2024年4月25日に開始した。
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たてもの園ナビは、スマートフォンのGPS機能で来園者が現在位置を把握しながら園内を散策できる位置情報認識、復元建造物の関連資料などを閲覧できるAR、解説コンテンツなどが備わっている。
江戸東京たてもの園は、1993年に東京都江戸東京博物館の分館として開設。現地保存が不可能で、文化的価値の高い歴史的建造物を約30棟移築し、復元、保存、展示するとともに、貴重な文化遺産として次代に継承することを目的に、東京都歴史文化財団が運営している。園内は、敷地面積約7ヘクタール、東西の長さ500メートル以上で、江戸時代に建てられた茅葺き(かやぶき)農家、著名な建築家が設計した住宅、下町の商店建築などの実物を展示し、来園者はさまざまな時代の街並みを歩いているように感じられる。一方、広大のため、「どのような順番で回ったらいいのか」「時間がないので見どころだけ知りたい」といった来園者からの意見や要望が寄せられていた。
こうした課題に対し、DNPと江戸東京たてもの園は今回、東京都と東京都歴史文化財団が都の保有する収蔵品や展覧会などの文化資源をデジタル化し、記録するプロジェクト「TOKYOスマート・カルチャー・プロジェクト」の一環で、Webアプリケーションのたてもの園ナビを開発し、来園者の鑑賞環境整備を行った。
たてもの園ナビは、園内に居ながらにしてスマートフォンから特設Webサイトにアクセスするだけで、誰でも利用できる。トップページからは、建物を一覧表示する「メニュー」、園内に自分がどこにいるかを示す「マップ」、ARコンテンツ表示に使う「AR」を用意している。
AR技術を用いたコンテンツ表示は、トップ画面からARを選択し、園内の一部の復元建造物内(2024年4月時点で6カ所)に設置したARマーカーを読み込むと、展示している生活用品などの使用方法や移築前の姿を写した写真をARで表示する仕組み。
また、マップは、利用者のスマホのGPS機能を利用し、画面の地図上に現在位置を表示する。園内の階段や段差、砂利道などを地図に表示するなど、バリアフリーにも配慮している。
地図上の復元建造物全30カ所のピンをクリックすると、それぞれの建造物のみどころを表示。「音声ガイド」ボタンを押せば、音声解説も流れる。
DNPは、世界遺産をはじめとする京都の有形/無形の文化遺産を毀損(きそん)することなく保存し、次の世代へ継承する「京都・文化遺産アーカイブプロジェクト」、フランス国立図書館の貴重な作品のデジタル化や鑑賞システムの開発を行う「リシュリュー・ルネサンス・プロジェクト」などを推進している。
こうした取り組みを通じ、高精細画像処理などの技術やノウハウを高め、ITを活用したインタラクティブな鑑賞システムを開発し、アート作品や文化財などのデジタル化と公開/利活用を支援している。今後も、アート作品や文化財などの保存、継承、公開に関わる活動を推進し、多くの人々が文化を学び、さまざまな体験ができる事業を展開していくとしている。
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