ふかめる活動で紹介したのは、学術活動委員会の「建築情報学生レビュー」。大学/大学院で、建築情報学的な研究を志向する学生を全国から集め、自身の卒論/修論研究を発表してもらい優秀な発表を表彰した。建築情報学を志す学生たちの祭典というコンセプトで、発表会はZoom配信で一般公開した。
2022年度(エントリー開始:2022年12月1日/発表会:2023年3月4日)は31組がエントリー。3Dプリンタ、機械学習、都市モデル、メタバースなどのセッションに分かれ、各組12分の持ち時間でプレゼンした。発表に対しては、口頭での質疑応答の他に、Discord専用サーバで感想やアドバイスをリアルタイムで書き込める。
杉田氏は、2022年度のレビューを振り返り、「メタバースや生成型AIでは、学生たちが先行している」と笑いながら話した。
もう1つのふかめる活動は「建築情報学会論文集」。情報技術、理論と建築、都市の関係に関する知の共有と体系化に資する学術論文の掲載を目的とした査読付き論文集で、オープンアクセスのオンラインジャーナルとして、科学技術振興機構が運営する電子ジャーナルの無料公開システム「J-STAGE」に掲載している。
国内の研究成果を広く海外に発信するために、執筆原稿に英語を採用。また、査読中からプレプリント(査読前の完成論文)を公開している。投稿の締め切りは年4回で、投稿資格は、筆頭著者が投稿から掲載されるまでの期間、建築情報学会の会員となっていることで、共著者の会員資格の有無は問わない。
また、調査活動委員会が担当する「建築情報学会白書」も、ふかめる活動だ。建築情報学会白書に与えられた役割は、大きく2つ。建築情報学会の会報誌としての役割と、建築情報学の現在地を示す多声的な論考メディアとしての役割だ。掲載論考を通じ、建築情報学の現在と未来について考えてほしいとの思いが、白書刊行の原点にある。
白書は、建築情報学的領域で活躍する実務者や研究者の論考を掲載するパートと、建築情報学会の各委員会の活動やイベントなどを報告するパートで構成。池田氏は「1年に1冊しか刊行しないが、そのぶんクオリティーの高い内容になっている」と自信を示す。
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