大林組は、建物の計画段階から、延べ床面積など5項目を入力するだけでCO2排出量を予測する「カーボンデザイナー」を開発した。プロジェクト早期から、建設中のCO2排出量のと削減策の検討を可能にすることで、建設分野でのカーボンニュートラルの実現に貢献する。
大林組は2023年12月6日、建物の計画初期段階で、施工段階のCO2排出量を試算できるCO2排出量予測システム「カーボンデザイナー」を開発したと発表した。
従来のCO2排出量算定システムは、入力項目数が多いことや入力値が計画初期段階では未確定なため、計画がある程度進まないと試算できないなどの問題があった。
大林組が開発したカーボンデザイナーは、計画初期段階で分かっている項目を入力するだけで、施工段階の燃料や電力といったScope1、Scope2のCO2排出量を表やグラフで可視化。通常の燃料や電力、資材の使用から、低炭素型資材を使用した場合の削減効果も分かる。
カーボンデザイナーは、大林組の豊富な施工実績のCO2排出量や躯体材料などのデータを基に、工事請負金額当たりのCO2排出量を算出する。入力項目は、「工事名称」「工事請負金額」「延べ床面積」「建物用途」「工期」の5項目。5項目のみで、施工段階でのCO2排出量を予測し、表やグラフで出力。施工後の運用段階については、日本ビルエネルギー総合管理技術協会の「建築物エネルギー消費量第43報」で公表されている建物用途ごとの排出原単位に基づいて試算している。
セメント一部をCO2排出量の少ない高炉スラグ微粉末などの産業副産物に置き換えた大林組の低炭素型コンクリート「クリーンクリート」など、低炭素型資材を使用した場合のCO2排出量も計算できる。
大林組は、カーボンデザイナーの適用範囲を広げるとともに、今後は建物運用における、省エネ効果の高い設備の導入など脱炭素投資に応じたCO2削減効果の可視化ツールの開発を行う。
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