アイ・エス・ピーは、インフラ維持管理の効率化を目指し、構造体表面の変位や変状を3Dデータで把握することで、点検業務を支援するインフラ維持管理支援システム「MEMOREAD」を開発した。
土木管理総合試験所グループのアイ・エス・ピーは2023年8月末、インフラ構造物の点検や現地調査の効率化、第三者被害の抑制に寄与するインフラ維持管理支援システム「MEMOREAD(メモリード)」をリリースし、2023年秋に発売する
インフラ構造物の老朽化が叫ばれる中、点検する構造物も年々増加の一途を辿(たど)っている。また、点検や診断を効率良く、漏れなく調査するには技術者側のスキルや経験値に左右されてしまう。
そこで、長年に渡り土木測量系3Dプログラムを開発しているアイ・エス・ピーは、強みとなっている「点群からの3Dモデル化技術」を活用し、その差分量からグラデーションヒートマップとして可視化することで、経年変化の把握に成功した。コンクリートの浮きや剥落(はくらく)、ジャンカや補修跡、塗装面の浮きや剥がれなどの早期発見、現地調査工程の短縮、点検者の負担軽減につながることが期待される。
MEMOREADの機能としては、「差分解析」「点群データからの3Dモデル化」「2D図面からの3Dモデル化」「トンネル展開」「点群データからの2D図化」「補修面積や容積の計算」に対応し、3Dモデルを活用した構造物の維持管理に応じる。
このうち、差分解析技術は、地上型レーザースキャナーで取得した点群データを3DのTIN(Triangular Irregular Network)モデル化し、点群データと比較させ、法面距離から差分量を計算し、各点に色情報を付与する。
なお、差分解析技術は、1ミリにも満たない“浮き”の正確な位置特定を目指したものではなく、点検前に短時間で解析して、事前に変位箇所の情報を把握しておくことで、点検時の作業負担軽減や省力化、または変位箇所の調査漏れを未然に防ぎ、第三者被害対策に貢献することを目的としている。
アイ・エス・ピーは、打音調査技術者の勘や感覚といった経験知や見た目では分かりにくい“浮き”を、「可視化する技術」が点検現場を変えるとしている。
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