後半は、日本法人オートデスクのACSテクニカルソリューションエグゼクティブを務める山根知治氏が登壇。日本の建設業界が抱えている課題を一挙に解決する1つの手段として、設計〜施工〜運用管理までの建設ライフサイクルを網羅するプラットフォーム「Autodesk Construction Cloud」を紹介した。
山根氏は、コロナ禍で大きく変容した建設業界の働き方について触れた。なかでも、リモートワークの普及、長時間労働の是正、現場のペーパーレス化、SDGsの浸透に伴うサステナビリティに向けた需要の増加、現場での安全対策の強化などへの関心が高まっている。「建設業界のワークスタイル変化とともに、現場のDXソリューションも一昔前とは比べものにいならないほど増え、多様化している」と付け加える。
別の独自調査を引用し、「労働力不足が原因で仕事を断った」という国内の事業者の割合は45%、「熟練労働者の確保が困難」と回答した請負業者は62%に及ぶと、人材不足の深刻度が増す実態も報告。その一方で、95%の現場作業員が「仕事を組み合わせて、効率化できるデジタルツールを使用したい」と答えたことも提示し、改めて建設DX導入の必要性を論じた。
デジタルツールを活用している企業で起きている問題点としては、「建設会社の25%が5つ以上の異なるソフトウェアを使用している。そのため、タスクや情報が分断されてしまい、かえって余計な手間やヒューマンエラーを発生させ、作業効率を落とす要因となっている。加えて、紙で書いた情報をPDF化してメールで送るなど、いまだに多くの情報共有が紙ベースで行われていることも不効率を招いている」(山根氏)。
そうした課題を解決すべく、Autodeskが提供しているソフトウェアが「Autodesk Construction Cloud(以下、ACC)」。ACCは、BIMを基軸に、社内の情報をデジタル化した上で一元管理し、全てをクラウド上に集めた共通データプラットフォーム。今まではアナログで管理していた資料でさえも集約し、写真整理や提出物管理、ミーティング、進捗管理といった雑務はもちろん、ファイルの大量転送、2D/3D設計図やBIMデータの管理など、多くの業務を一元化できる。
他にも、VRを活用して仮想空間内に現場を再現し、新人のトレーニングや安全面の事前チェック、作業工程のシミュレーションだけでなく、BIMモデルを用いた建設物のエネルギー量解析、CO2排出量の計測してサステナビリティへの貢献に生かすなど、建設領域でのSDGsにも役立つ。「多くのパートナー企業と連携したアプリ共有も可能なので、使い方の可能性は無限大」と山根氏。今後も機能を拡張し、建設業各社の売上拡大に貢献していきたいと抱負を述べた。
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