竹中工務店は、施工現場に導入している四足歩行ロボット「Spot」で、現場を撮影し、点群データの実測図を作成する実証実験をJR新小岩駅南口駅ビルの新築工事で実施した。
竹中工務店は、米Boston Dynamics製の四足歩行ロボット「Spot」が建設現場内を巡回して撮影した映像を、実測図の作成用データとして用いる実証実験を成功させたと2023年7月末に発表した。
テストフィールドとなったのは、JR東日本発注の「JR新小岩駅南口駅ビルの新築工事」で、JVを組成する鉄建建設とともにSpotを実測図作成の補助業務に適用できるかを検証した。
JR「新小岩」駅南口駅ビルの新築工事のような鉄道関連施設をはじめ、工事完了後も繰り返し改修や改築が行われてきた施設では、新たな工事に着手するにあたり、過去の工事を全て反映した現況の実測図を作成しなくてはならない。
これまでは、実測図作成に必要な映像撮影は、技術者が慎重に作業を行っても建設現場では足元が不安定なために、映像がブレたり、撮影漏れが起きたりして撮り直しを強いられ、負担となっていた。
今回、階段や不整地でも、障害物を回避しながら事前に指示したルートを自律巡回するSpotの機能を生かし、頭部に市販カメラを搭載して、ブレや漏れのない映像を撮影。映像撮影に要する時間は、最大30%程度削減されたという。
実測図の作成は、Spotで取得した映像データをもとに、CalTaのデジタルツインアプリケーション「TRANCITY」を用い、3次元の点群データを生成した。
また、作成した実測図(点群データ)と、設計図(BIMデータ)とを重ね合わせ、新たに建設する施設や設置する設備配管などと、既存構造体との干渉を事前にチェックし、不具合が生じないことを確認することにも役立て、施工管理でも業務の効率化に寄与した。
今回の成果により、Spotの活用シーンはこれまでの建設現場巡回、施工状況の遠隔確認と記録、軽量資材の運搬に加え、実測図の作成補助にまで拡大。竹中工務店は、Spotのさらなる活用方法の実現を目指した研究開発や墨出しロボット、搬送ロボットなどRXを活用した生産性向上施策の普及展開を図っていくとしている。
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