パナソニック エレクトリックワークス社が、施設の夜間照明やイベント照明で提案するパナソニック製LED投光器を活用した照明演出「アフォーダンスライティング」に、新たな手法として人の行き先を光で示す「誘導」が加わった。京都・二条城で催されている「光と食」の夜会に試験導入されたことに合わせ、現地見学会で光の演出が人の行動にどう影響するのか、その有用性を体験してきた。
夜の京都・二条城をライトアップした光の演出と食が楽しめる「光と食」の期間限定イベント「ワントゥーテン 二条城夜会」が、2021年11月5日から12月12日まで開催している。夜会では、世界遺産の元離宮二条城で、国内最大級となる約400平方メートルのAIによるプロジェクションマッピングや京都で予約困難とされる名店のグルメを提供する。
城内の照明は、パナソニックのLED照明器具とともに、人の行動を光でコントロールする屋外照明の演出手法「アフォーダンスライティング」を採り入れ、実証実験を行っている。会期中に開催した現地見学会で、アフォーダンスライティングは人の行動にどのように作用するのかを含め、幻想的な夜に浮かび上がる二条城のさまざまなライティングを体験した。
ワントゥーテン 二条城夜会は、京都市下京区に本社を構えるクリエイティブ集団「ワントゥーテン(1→10)」が主催する没入型アート体験イベント。これまでに、AIのプロジェクションマッピングやXRを駆使し、羽田空港に隣接する複合施設「羽田出島」やドバイ万博日本館など、国内外で数々のイベント企画に携わってきた。
今回の二条城夜会は、ワントゥーテンが2018年より旧芝離宮恩賜公園や名古屋城などで繰り広げてきた革新的なテクノロジーと日本文化を掛け合わせる「JAPANESQUE PROJECT(ジャパネスクプロジェクト)」の一環として開催。原点回帰をテーマに据え、AIやプロジェクションマッピング、照明演出などの新技術を活用した城内を満たす光と音で、重要文化財の唐門や特別名勝の二の丸庭園の魅力を引き立たせ、二条城の持つ歴史的価値を再発見させることを趣旨としている。
特別協賛のパナソニックは、ライトアップ演出の提案に関わっており、その1つで、パナソニック エレクトリックワークス社が研究を進める照明演出のアフォーダンスライティングを試験導入。アフォーダンスライティングは、LED照明の光に動きや明暗、色といった変化を加えることで、人の心理や行動に働きかける。2021年10月の実証実験では、人の歩行速度に合わせて進行方向に光が流れる「回遊」と、一定の間隔で明暗を繰り返してその場に落ち着きを与える「滞留」を検証した。
二条城夜会では、新たにパナソニック エレクトリックワークス社の照明演出に追加した狙った方向へ進行を促す「誘導」を実験。城内中央南側にある桃山門をくぐり、鳴子門の手前で二の丸庭園へと続く脇道までの通路に、30基以上のLED投光器「DMXスポットライト」を設置し、等間隔に並んだLEDを順番に右に流れるように照射することで、徐々に右側への脇道へと誘(いざな)う。10種類あるパターンには一部ノイズも入れ、立ち止まる仕掛けも用意している。
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