今回紹介したデバイスやシステムは熱中症対策なのはもちろんですが、人やモノの位置も把握可能です。GPSを搭載していれば、屋外での位置を取得できますし、屋内に設置した位置タグのビーコンをセンサーデバイス、またはスマートフォンが感知することで、作業員や車両などのモノのおおよその位置を検出できるのです。収集された作業員や建設車両の位置情報は、接触事故を防ぐための基礎情報になったり、事故発生時の緊急対応にも役立てられる“見守りサービス”の重要な要素と成り得ます。
こうした位置情報を有効活用することで、現場内の作業員の理想的な配置指示や状況を見ながら建設資材を移動させる指示を出し、現場のスムーズな運用につなげ、業務効率化が図れます。
冒頭に触れた第14次労働災害防止計画にも、事業者が自発的に取り組むべきこととして、「DXによる業務効率化と安全衛生の確保を両立する取組」と記載されています。今回、採り上げた技術やサービスは、作業員ごとにデバイスを導入しなければならないため、コスト面ではやや課題が残りますが、業務効率化と安全衛生の確保というメリットの享受がコスト負担を上回り、現場導入へのハードルを下げるのではないでしょうか?
連載第4回は、センサーデバイスを活用した作業員の熱中症対策を中心とした安全見守りをご紹介しました。次回はカメラ映像を活用した「安全装備チェック」や「不安全行動監視」など、安全パトロールの自動化・効率化について解説します。
★連載バックナンバー:『建設ICTで切り拓く、現場の安全衛生と生産性の向上』
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