建設現場の“酷暑”を乗り切れ 熱中症対策など安全衛生を支援する建設ICT【連載第4回】建設ICTで切り拓く、現場の安全衛生と生産性の向上(4)(3/3 ページ)

» 2023年07月21日 10時00分 公開
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熱中症対策だけではないメリット

 今回紹介したデバイスやシステムは熱中症対策なのはもちろんですが、人やモノの位置も把握可能です。GPSを搭載していれば、屋外での位置を取得できますし、屋内に設置した位置タグのビーコンをセンサーデバイス、またはスマートフォンが感知することで、作業員や車両などのモノのおおよその位置を検出できるのです。収集された作業員や建設車両の位置情報は、接触事故を防ぐための基礎情報になったり、事故発生時の緊急対応にも役立てられる“見守りサービス”の重要な要素と成り得ます。

位置情報の把握で安全衛生向上を支援 位置情報の把握で安全衛生向上を支援 提供:日立ソリューションズ

 こうした位置情報を有効活用することで、現場内の作業員の理想的な配置指示や状況を見ながら建設資材を移動させる指示を出し、現場のスムーズな運用につなげ、業務効率化が図れます。

 冒頭に触れた第14次労働災害防止計画にも、事業者が自発的に取り組むべきこととして、「DXによる業務効率化と安全衛生の確保を両立する取組」と記載されています。今回、採り上げた技術やサービスは、作業員ごとにデバイスを導入しなければならないため、コスト面ではやや課題が残りますが、業務効率化と安全衛生の確保というメリットの享受がコスト負担を上回り、現場導入へのハードルを下げるのではないでしょうか?

 連載第4回は、センサーデバイスを活用した作業員の熱中症対策を中心とした安全見守りをご紹介しました。次回はカメラ映像を活用した「安全装備チェック」や「不安全行動監視」など、安全パトロールの自動化・効率化について解説します。

著者Profile

浜村 憲/Ken Hamamura

日立ソリューションズ フィールドソリューション部 技師。

2017年から「ICTを活用した労働安全衛生」をテーマとしたマーケティング活動を開始。翌年に「労働安全衛生トータルソリューション」を立ち上げ、企業の安全衛生担当者向けの紹介やセミナー講演などのプロモーション活動を担当した。

2022年からは、建設業の安全性や生産性向上を支援する「建設業向けソリューション」のチームに加入し、建設現場の方々と共に建設DXの推進活動を実施中。

連載バックナンバー:建設ICTで切り拓く、現場の安全衛生と生産性の向上

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